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「裁判員法」案についての声明

2004年4月2日
日本新聞協会

 裁判員制度に関する法案が衆院法務委員会で審議入りした。これを機に改めて、同法案に対する日本新聞協会の見解を述べておきたい。

 われわれは、これまで発表した見解等で「報道の自由」を制限する恐れが強い「偏見報道の禁止」規定の全面削除を求め、裁判員等に課せられる守秘義務についても範囲、期限を明確にすべきとした。また裁判員等に対する接触禁止については「裁判員等を退いた人までの一律禁止は弊害が多い」と指摘し、裁判員等の個人情報についても、すべてを非公開とはしないよう検討を求めてきた。

 今回の政府案では「偏見報道禁止」規定は盛り込まれておらず、この点については評価できる。だが、裁判員等だった人に課せられる守秘義務については、「評議の経過やそれぞれの裁判官の意見並びにその多少の数その他の職務上知り得た秘密」などと、その範囲が明確でないうえ、義務を負う期限も限られていない。違反者に対しては1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す内容となっている。これでは、裁判員だった人が自らの経験をほとんど語れなくなってしまう。裁判がどのように行われたかを事後的に検証することは難しくなり、よりよい制度への議論の道も閉ざされる恐れがある。

 また、裁判員の個人情報については、どういう人が判断に加わったかが全く明らかにされなくては、裁判の公正に対する社会の信頼は得られない。接触禁止も、守秘義務の範囲が明確にされず、違反に対しては罰則規定があることと合わせて、実質的に取材を困難にするだろう。

 われわれは「裁判への国民参加」という理念に基づく今回の裁判員制度を、より開かれたものにするためには、国民に可能な限り多くの情報を開示することが必要だと考えている。その点、この制度下での取材と報道の役割が、一層の重要性を持つことは言うまでもない。今後の国会審議では、この点を踏まえたうえでの十分な審議が行われ、政府案の修正がなされることを要望する。

以上

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