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小型無人機等飛行禁止法の改正方針に関する意見

2026年3月6日

警察庁長官
楠 芳伸殿

一般社団法人日本新聞協会
編集委員会
代表幹事 古本 陽荘

 貴庁の有識者会議報告書「技術の進展に伴う危険なドローン飛行への対策に関する報告書」(2025年12月18日公表)は、近年のドローンの高性能化および利用拡大を踏まえ、小型無人機等飛行禁止法改正の方向性を示した。
 当協会は19年の同法改正にあたり、国民の知る権利に資する報道活動の観点から、措置内容はドローンを利用した取材活動に大きな影響を与えかねず、行き過ぎたテロ対策によって取材・報道の自由が阻害されることのないよう求める意見を表明した。ドローン技術の高度化にテロ対策を対応させる点で、一定の制度改正が検討されること自体を否定するものではない。しかし、報告書に「国民の権利自由の制約やドローンの利活用の促進との調和を図る観点から、必要最小限の規制となるよう慎重に検討すべき」とあるとおり、テロ対策の実効性を過度に追求することで国民の知る権利および取材・報道の自由を不当に阻害することはあってはならない。制度改正にあたっては慎重かつ丁寧な検討が不可欠であり、当協会は以下の6点を十分に踏まえるよう、強く求める。

1.正当な取材活動に対する最大限の配慮が必要

 報道機関が運用するドローンは、災害現場や重大事故現場など、人の立ち入りが困難または危険な状況下においても、迅速かつ客観的な情報を国民に届けるための不可欠な取材手段となっている。報道は民主社会の基盤を支え、国民の知る権利に応える公益的な活動であり、法改正や運用の見直しに当たっては、報道活動が不当に制約されることのないよう最大限に配慮すべきである。

2.イエローゾーンの直罰化は行うべきではない

 報告書は、対象施設周辺の規制区域(イエローゾーン)を現行300メートルから1000メートルに拡大するとともに、同区域での違反行為を直罰の対象とするよう提言したが、直罰化については反対する。イエローゾーンの外側周辺において実害がないにも関わらず飛行の萎縮効果が生じることとなり、当該エリアにおけるドローン取材が事実上困難となるだけでなく、報道以外のドローン利活用にも大きな悪影響が生じる。

3.ドローンの種類に応じた柔軟な運用が必要

 報告書はドローンへの銃火器管制システム等の搭載可能性を指摘し、規制の強化を提言した。しかし、報道機関が通常使用する小型ドローンは、最大積載重量や飛行性能の制約から、そのような装備の搭載は想定できない。機体の性能や用途の差異を考慮せず包括的に規制を強化することは、実態に即さない過剰規制となる懸念があり、柔軟な運用が必要である。

4.技術活用を通じた規制緩和を

 テロ対策においてドローンの識別は重要な要素になると考えられるが、2022年6月以降、ドローンへのリモートIDの搭載が義務化されている。こうした技術がさらに発展していく中で、厳しい飛行制限を課さなくとも取材活動を含むドローン利活用とテロ対策を両立させることは、十分に可能だと考えられる。技術動向を踏まえ不必要になった規制は緩和するよう、不断の検討を求める。

5.手続きの簡素化・迅速化が必要

 報告書の提言どおりイエローゾーンが1000メートルに拡大された場合、施設管理者・地権者の同意取得や警察署への通報手続きが増加することが想定されるため、手続きの簡素化・迅速化に向けた具体的な制度設計が不可欠である。さらに、対象施設においても在日米軍が同意手続きを飛行の30日前までとするなど過度に厳格なケースがあることから、各関係先にも緩和を働きかけるよう求める。

 また、現行制度では原則として飛行の48時間前までに警察署への通報が必要な一方、取材を含め緊急の場合は例外的に飛行直前までの口頭通報が認められている。災害や重大事件・事故発生時における迅速な情報提供の公益性を踏まえれば、この運用は引き続き維持されるべきであり、制度改正により後退しないことを求める。

6.現場に趣旨を徹底すべき

 今回の検討に際して報道機関から、何ら違法なドローン飛行を行っていないにもかかわらず警備側から威圧的な態度を取られたり、法的に不要な手続きを行うように迫られたりする事案が報告された。公権力を行使する者が正当な取材活動を萎縮させるような言動をとったとすれば民主主義の観点から極めて不適切であり、現場に対してドローンに関する法などをより正確に熟知、理解することを求める。

以  上

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