8月 6日付 経済政策に期待感大きく

数頼みの政権運営を懸念

 第23回参院選は7月21日の投開票で自民党が改選議席を大きく上回り、現行制度で過去最多の65議席を獲得して圧勝した。公明党と合わせた与党で非改選も含め過半数を確保し、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ」状態を解消。一方、民主党は改選議席の半数にも届かない過去最低の17議席に沈み、日本維新の会、みんなの党も伸び悩んだ。投票率は選挙区で52.61%と参院選としては過去3番目に低い水準。参院選の結果を取り上げた約50社の社説・論説のうち22日付紙面を中心にまとめた。

論戦低調で投票率低下

与党の勝因について北國は「アベノミクスは国民の心に希望の灯をともし、久しく忘れていた『政治の力』を思い出させる契機にもなった。このアベノミクスへの高い支持が自民圧勝の流れを決定づけたといえよう」と分析。静岡も「有権者の関心は所得増加に直結する経済政策に集中。景気回復が実感できる政策を求め、その実現を自民党に託したといえる」と安倍政権の経済政策への期待感が大きいと判断した。産経は「『強い日本』を取り戻すために有権者は政治の安定を求め、強力な政権が内外の危機を克服することに期待を託した」と論じた。

これに対して山陽は「論戦は低調で、すれ違いが目立った」とした上で「一番の要因は自民党が経済政策以外は積極的に言及せず、守りの姿勢を貫いたことにあろう」と指摘。自民の戦術について北海道も「環太平洋連携協定(TPP)や原発再稼働など、国民の間に賛否両論がある政策で深入りを避けた」とし、神戸は「与党は経済政策の実績を強調し、それ以外の争点については多くを語らなかった。(略)対抗軸はぼやけ、何を基準に選んだらいいのか悩んだ人は多かったのではないか」と論評した。

低調な論戦は投票率の低下にもつながる。「投票率は3年前の前回参院選より落ち、戦後最低を更新したさきの衆院選と同様、低投票率傾向だった。行き場を失った批判票の多くが棄権に回ったことは否定できまい」と毎日。新潟は「県内も55%台にとどまった。これは深刻な数字だ。半数近い人が棄権するようでは、国政選挙の名に値するのか。政治家は猛省しなければならない」と主張した。

アベノミクスに異論も

与党の勝因の一つとされるアベノミクスには地方からやや異なる評価も出ている。大分合同は「地方は景気回復の実感に乏しく、円安による原材料費の値上がりなどデメリットを嘆く声もある」「地方の住民や中小企業が所得増や雇用創出を期待できるような、地方に焦点を当てた成長戦略を示してほしい」と訴えた。福島民報も「東日本大震災からの復興・復旧の途上にある本県は、それほどの恩恵はない。東電からの賠償金で暮らす被災者にとって、物価上昇は迷惑だ」と否定的で、「『ねじれ国会』は解消されたが、選挙期間中、地方との意見、主張の食い違い、いわゆる地方との『ねじれ』が目立った」と指摘した。

野党は対抗軸示せず

野党への厳しい論調も目立つ。愛媛は「民主党はじめ野党の衰退は危機的だ。二大政党制の定着を望んで2009年、民主党政権を選択した民意に応えられなかった罪は大きい」と批判。信濃毎日も「自民と張り合える対抗軸を示せなかった野党の責任は重い。特に深刻なのは民主である」と断じ、西日本は「民主党は、二大政党の一翼とは言い難い退潮ぶりである。みんなの党や日本維新の会など『第三極』を含む野党各党は新たな連携や再結集を模索するだろうが、ここが正念場だと心得てほしい。健全な批判勢力が民主主義に欠かせないことは自明の理であるからだ」と説いた。

自民圧勝と「ねじれ」解消を受け、今後の政権、国会運営について日経は「懸念されるのが古い体質の復活である。既得権益の保護・分配への志向・偏狭なナショナリズムの3つのバネが働く可能性があるためだ。とくに規制改革にブレーキをかけ、公共事業の増額にアクセルを踏み込む動きには要注意だ」と警戒。朝日は「数を頼みに突き進もうとするなら、破綻(はたん)は目に見えている。衆参のねじれがなくなっても、民意と政権がねじれては元も子もあるまい。誤りなきかじ取りを望みたい」とクギを刺した。

中日・東京は「公明党に歯止め役を期待するしかあるまい」とし、「自民党の独善を正し、国民の声を政治に反映させる。公明党の責任は重大だ」と強調。読売は自公の集団的自衛権などをめぐる政策の違いについて「巨大与党をきちんと運営するためにも、十分な意思疎通を図って連携することが欠かせない」と注文を付けた。(審査室)

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