10月 7日付 経済再生、地方創生に焦点

強引な政治手法に疑問も

 安倍首相が9月3日、第2次内閣として初めてとなる内閣改造を実施した。首相は、自ら「実行実現内閣」と強調した。同時に自民党の役員人事に踏み切った。この動きをほぼすべての全国紙・ブロック紙・地方紙などが4日の社説などで取り上げた。

国民の暮らし最優先に

 論点の一つは「経済再生」。日経は「日本経済の再生こそが安倍政権の歴史的使命であるとの決意をみせねばならない」と強調した。さらに「医療、年金、介護など社会保障費の膨張に歯止めをかけ、思い切って歳出抑制・削減に踏み出すときだ」と求めた。

 「経済再生」を強調した論は、地方紙でも目についた。「改造内閣が引き続き手を緩めることができないのは経済の再生である」(北國)▽「最重要課題は安倍首相が政権の使命と位置づける経済再生だろう」(山陰中央)などだ。

 熊本日日も「安倍改造内閣は、何よりも国民の暮らしの安定を最優先課題にするべきだ。新体制発足を機に、政権の使命と位置付ける経済再生に一体となって取り組んでほしい」と注文した。

 産経は「改造後も、喫緊の課題は経済成長を確実なものとするための施策の実現だ」と冒頭で主張した。その上で「強い指導力」を首相に求めた。見出しは「日本再生の司令塔となれ」だった。

実効性のある対策を

 安倍首相が9月29日の臨時国会の所信表明演説でも強調した「地方創生」に力点を置いた論も目立った。

 北日本は「注目されるのは、なんといっても地方創生担当相の新設である」とし、「東京と地方の利害を調整する力量も求められよう」と押さえた。「地方の側も問われることになる。選ばれるまちになるよう知恵を出し、地方から日本を変えていきたい」と結んだ。

 神奈川は「地域の特性を生かした地方での雇用機会創出などが喫緊の課題である」とし、「地方創生が選挙目当ての政権イメージ戦略で終わる懸念も拭いきれない。本腰を入れ、実効性のある対策を打ち出してほしい」と求めた。

 山陽は「東京一極集中を是正し、人口減少の抑制や地域経済活性化につなげることは少子高齢化が進む日本の最重要課題といえる」と指摘。大分合同は「地方再生は国の将来を左右する大事業だ。第一線に立つ地方の意向が反映された戦略でなければ、理念だけが空回りし、絵に描いた餅に終わりかねない」と訴えた。

 全国紙では、読売が地方創生を「改造内閣の最重要課題」と位置づけ、「地方移住、雇用創出、子育て支援など総合的な人口減対策と中長期的戦略が欠かせない」と押さえた。

国民の異論くみ取って

 自民党の「1強」状態での政権運営の中、「国民の声を聞け」との主張は少なくない。

 中日・東京は集団的自衛権の行使容認をめぐり、「自らの主張のみを正しいと思い込み、国民の中にある異論を十分にくみ取って、不安に思いをめぐらせたと言えるのだろうか」と疑問を呈した。

 北海道は「数の力を背景としたこれまでの強引な政治手法を改めてもらいたい」と主張し、「大切なのは多様な意見を聞き入れることだ」と求めた。信濃毎日は「首相には異論に耳を傾ける丁寧な政治を求める」と論じた。朝日も「異論を切り捨てるだけの政治であってはならない」とした。

 京都は集団的自衛権行使容認を閣議決定したことに関して、「閣議決定後に国民の支持が急落した事実を深く反省し、丁寧な議論を心がけなければならない」とした。
毎日は「強引さも目立つ政権運営のありかたを見直し、政策面で生じたひずみを修正すべき時だ」と指摘。主見出しでは「中韓と関係構築を急げ」と主張した。

 福島第一原発の事故の影響で依然厳しい状況が続く福島県。地元2紙はそれぞれ「復興」を軸に論じた。

 「国と被災地との間には距離感がある―と言わざるを得ない。国が前面に出ているとの実感は、まだまだ薄い。震災と原発事故から3年半がたつ。県民の暮らしと命を守り、復興を加速させるために内閣がどれほどの覚悟を持っているか。県民は実行力を注視している」(福島民報)

 「新内閣発足後の会見で安倍首相は政策実現にまい進する抱負を述べたが、これからの復興への決意が明確に示されなかったことは残念だ。被災地では復興が最重要課題として残されていることを忘れてはならない」(福島民友)

 米軍普天間飛行場の辺野古移設が具体化した沖縄の2紙。沖タイは、「負担軽減の道筋見えぬ」、琉球は「国民の批判に耳を傾けよ」との見出しで批判的に論じた。(審査室)

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