5月 9日付 疑惑解明は国会の責務

「森友」一色の論戦に疑問も

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、学園の籠池泰典氏に対する証人喚問が3月23日に行われた。安倍首相夫人の昭恵氏を巻き込み、首相側と籠池氏側の主張が真っ向から対立、泥沼化の様相を呈している。各紙社説は、さらなる疑惑解明が必要とする論調で一致。一方で、論戦が「森友問題」一色になっている点に疑義を呈する意見もみられた。

首相夫人の招致求める

 昭恵氏の国会招致を求める朝日は「政府は昭恵氏を『私人』だとし、認可や土地取引と無関係と強調する。だが首相夫人が公的存在であることは明らかで、説明責任は免れない」(24日付)と指摘。解明は緒に就いたばかりとした上で、幕引きを急ごうとする与党の動きを批判し「見過ごせないのは、取引の経緯を詳しく説明しようとしない財務省の姿勢」(28日付)「納税者の目は厳しい。甘く見れば必ずしっぺ返しがある」(同)と強調した。毎日も「理事長一人の喚問では解明できないことが改めて分かった。やはり他の関係者の反論や説明が不可欠だ」と訴え、昭恵氏の寄付など籠池氏の証言のポイントを挙げ「証言が事実かどうか、昭恵氏本人の口から説明が聞きたい。記者会見などをしないのなら国会への招致が必要となる」と指摘。また、小学校認可問題で「はしご段を外された」と籠池氏が言及した松井一郎・大阪府知事らの証言も聞く必要があると論じた。東京も問題点の一つとして、籠池氏と首相、昭恵夫妻との関係を挙げ「首相夫妻の『政治力』が直接であれ間接であれ、売却価格の引き下げに影響していたとしたら、見過ごせない」と強調、話が食い違うならもう一方の証言も必要だとし「昭恵氏は首相夫人の立場で、この小学校の名誉校長に就き、学園の経営する幼稚園で講演もしていた。金銭の授受や行政への働き掛けの有無について、証人喚問の場で真相を語るべきである」と注文を付けた。

 疑惑は深まったと断じる日経は、籠池氏が首相夫人から100万円の寄付を受け取ったとも明言したことから「国会は関係者をさらに招致して真相を解明」する必要性を説く。「嘘をつけば偽証罪に問われる場で籠池氏がここまで証言した事実は重い」とし「政府・与党には昭恵夫人の国会招致について慎重な意見が根強い。しかし様々な疑惑の解明に後ろ向きだと思われれば、政治不信を増大させる結果につながることをよく自覚すべきだ」と積極姿勢を促した。下野、日本海、宮崎などは「森友学園疑惑や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の『日報』隠しなどは、行政の公正さへの疑念を招く」と指摘した。その上で「一連の疑惑は『1強』とされる安倍政権の意向が、行政組織に影響を与えた構造的な問題ではないか。解明は行政府をチェックする国会の責務と言えよう」と厳正な対応を求めた。

 読売は籠池氏が「小学校の認可に関して『大阪府にはしごを外された』と非難するのは筋違いである」(24日付)と指摘、証言の信ぴょう性を慎重に見極めたいとした上で「『森友』一色の議論で良いのか」(28日付)とのタイトルを掲げ「見過ごせないのは、国会審議がこの問題でほぼ一色になったことだ。経済再生と財政再建の両立、新たな段階に入った北朝鮮の核・ミサイルの脅威などの議論が疎(おろそ)かになったのは残念」と論議の中身に疑問を投げ掛けた。産経も主張の食い違いがより浮き彫りになり「行政への重大な疑義を生じさせただけに、事実解明は欠かせない」としながらも「法案審議と森友問題とは明確に切り分けること」を提言。「北朝鮮がミサイル発射や核実験を行うことも予想されるなか、事態に即して国会は迅速に対応する必要がある」との見方を示し「審議を遅らせる材料にしない。疑惑を残したままフタはしない。与野党がそう確約し、今以上に仕事をする。それに尽きよう」と主張した。

法案審議の遅れ懸念

 北海道は与党側の消極姿勢を非難するとともに、PKO部隊の日報隠しや「共謀罪」法案を巡る金田勝年法相の不安定答弁への追及が未消化だと指摘、「このままでは必要な法案の審議にも影響する。国会はまず国民の疑念を解消しなければならない」と強調した。また、昭恵氏の国会招致を求めた上で「給付型奨学金の新設など、国民生活に直結する法案の審議も控える。国会はそのためにも、積み残された疑問の究明を急ぐべきだ」と結んだ。デーリー東北、山口などもこのまま幕引きを図ろうとする与党側の姿勢に疑問を呈し「払い下げに政治の関与は本当になかったのか。首相夫人に関する籠池氏の証言は、首相が主張するように事実無根なのか。国民が納得するまで解明することが与野党に課せられた責務だ」と訴え、後半国会を波乱含みと予測した。(審査室)

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