1月16日付 「明治150年」と政策を問う

北朝鮮・中国情勢も注視

 改元のカウントダウンが進むとともに、改憲の足音も聞こえ始めた2018=平成30年。北朝鮮を巡る動きをはじめ、国際情勢の不透明感も増す越年となった。ただ、元日前後は取り立てて大きな事件や事故もなく、穏やかに推移。在京各紙の元日紙面は1面メニューが異なり、それぞれのカラーや姿勢を端的に示す形となった。

4紙が独自ダネ、2紙企画

 【1面トップ】毎日、読売、産経、東京が独自ダネの雑報でトップを張った。朝日と日経は連載企画を置いた。

 読売「中露企業 北へ密輸網」=北朝鮮が石油精製品を公海上で積み替えて密輸している問題で「中国企業がロシア企業からの密輸を手助けしている実態が、読売新聞が入手した契約関連文書で明らかになった」として横カットを張った。中国企業は、北朝鮮がロシア産の石油精製品を洋上で受け取るためのタンカーを提供するなどしていたという。

 中露朝の密輸ネットワークは、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁の「大きな抜け穴」になっていると指摘。国際面に「北、巧妙に監視回避」とする関連記事も配した。

 産経「中国、30年までに空母4隻」=中国海軍が空母建造を加速させ、30年までに4隻の空母打撃群を運用する計画があることが分かったと報じた。「アジア太平洋地域での軍事プレゼンス拡大」に向けた動きで、中国軍事筋が明らかにしたとしている。4隻のうち2隻は「原子力空母の実用化を目指す」といい、記事は「米国に次ぐ〝空母大国化〟が実現すれば地域のパワーバランスに変化が生じそうだ」と位置付けている。1面には、米中が保有する空母の現状などをまとめた別稿も添えている。

 東京「福島除染『手抜き』」=福島第一原発事故以降、福島県飯舘村で実施された除染事業で汚染土壌を詰めた二重構造の除染袋(フレコンバッグ)のうち、防水機能のある内袋が閉められていないものが千袋見つかっていたという。雨水などが浸入し、汚染水として漏れ出る恐れがある。「特定業者のみの手抜き」とされ、千袋を詰め直したが、記事は「他業者もやっていた」という当時の作業員の話も紹介。「未発見の手抜きフレコンが今も大量に放置されている可能性がある」と警鐘を鳴らした。

 毎日「拉致解決 資金援助が条件」=北朝鮮の駐英公使を務め、16年8月に韓国に亡命した太永浩氏に単独インタビューを実施。1面に本記と解説を構えたうえで2面「クローズアップ」欄も使って詳報した。太氏は、日本人拉致問題について金正恩氏が「拉致問題の解決と引き換えに、日本から巨額の資金援助を受けられることを望んでいる」と明らかにした。また北朝鮮にとっては、核・ミサイル開発が国内統治に不可欠であるなどとする見解も示したとしている。

 日経 連載「パンゲアの扉 つながる世界」=現在の大陸が分離する前の超大陸・パンゲア。それをタイトルに取った連載をスタート、初回の見出しは「溶けゆく境界 もう戻れない」と掲げた。「移民への反感が渦巻く欧州」にあって、人口130万人のエストニアが、国外に住む人に自国民に準じた行政サービスを提供する「デジタル移民」を進めていることなどを紹介。「小さな国、小さな企業、そして個人。デジタルの翼に解き放たれ、境界を溶かしてゆく」と打ち出した。

 朝日 長期企画「平成とは」の第1部を据えた。80代の親と50代で引きこもる子を描いた12月30日付の「8050危機」から始まり、少子化を見つめた2回目「1・57の衝撃」に続く第3回を元日付に掲載した。ことさら元日にアクセントを置かない構えで「幸福論」と題し、「成りあがり」矢沢永吉氏を戦後右肩上がり社会の映し鏡と見立て、そのロックスターが今、幸福感を覚えるのはコンサート後の「ひとりワイン」だとして平成に広がった「ひとり」文化を考えた。

民主主義と憲法論じる

 【社説】新年が「明治150年」であるのにちなみ、その歩みを見直し、今後を読み解こうとするものが目立った。

 日経「順風の年こそ難題を片付けよう」=この150年を「前半が明治維新から太平洋戦争、後半が戦後復興からバブルを経て今に至るまで、と画然としている」としたうえで、政府の最優先課題は「超高齢化社会を乗り切る社会保障と財政の見取り図をきちんと描くことにつきる」と指摘。「高齢者への社会保障給付」の見直しや「年金の支給開始」の引き上げなどを求めた。

 東京「明治150年と民主主義」=明治維新がもたらした「最大のものの一つは民主主義ではなかったか」と意味付けた。市民が集って事を議す「広場」の意義を説き、自由民権運動や明治憲法制定を振り返った。そのうえで「今の日本の民主主義」に目を向け「社会はつねに不満を抱えるもの」「その解決のために議会はあり、つまり広場はなくてはならない」「思い出すべきは、民権を叫んだ明治人」「私たちはその広場の一員」などと説いた。

 毎日「初めから同質の国はない」=「あるべき国家像とは。自らを顧みて問いかけが必要な節目」と掲げ、まず明治からの歩みを見直した。続いて、戦後の「民主的な国民国家は、今でも有効な統治モデル」と規定。世界各地で「揺らぎやほころび」が見えるものの「階層や生い立ち、地域、年代、性差」という「違いがあるからこそ、民主主義が必要」「トランプ流で民主主義の参加者に過剰な同質性を求めていけば、国の土台は揺らぐ」とした。

 産経「『独立自尊』を想起したい」=元日紙面は1面に論説委員長の「年のはじめに」を掲載。社説にあたる「主張」の新年初回は3日付で「明治150年」をテーマに掲げた。冒頭で「日本が進むべき道を、先人の足跡に見いだしたい」と掲げ、福沢諭吉や陸羯南を引き合いに「明治人は個人と国家の独立自尊を求めた」とした。「ひるがえって現代はどうか」と続け、「権利を制限される形で制定された憲法をいつまでも頂くことが、独立国といえるだろうか」「とうに改正されて然るべき憲法だが、現政権の下でようやく議論は緒に就いた。これを加速させたい」と述べた。

 朝日「より長い時間軸の政治を」=「明治150年」と離れて、「近年まれな長期政権」となった安倍政権について、「与えられた豊富な時間を大切に使い、政策を着実に積み上げてきただろうか」と問い掛けた。財政再建や地球温暖化対策などを挙げ「長い時間軸の中で取り組まなければならないテーマ」「民主主義の時間軸を長くする方策を新たに考えなければならない」と指摘。こうした「将来への関心」は、前文や基本的人権の条文に盛り込まれているとして「先を見据えよ。憲法はそう語っている」と結んだ。

 読売「緊張を安定に導く対北戦略を」=朝日同様「明治」に触れなかった。「70年余り続く平和と繁栄を、どう守り抜くのか」と切り出し「周到な戦略と、それを的確に実行する覚悟と行動力が求められる年となろう」と示した。具体的には「北朝鮮による緊張」を挙げ「言うまでもなく、目指すのは、戦火の回避と外交を通じた解決」として「国際包囲網の維持」などを説いた。続いて対トランプ米政権、対中国、さらにはデフレ脱却を目指すための「眠っているカネを動かす大胆な政策」などを並べた。

 【主な連載企画】朝日=「平成とは」(12月30日から)・社会面「ルポ現在を歩く」、毎日=社会面「縮む日本の先に―AIと生きる」(12月31日から)・くらしナビ面「ニッポンの食卓」(同)、読売=「平成時代」(1月3日から)・文化面「明治あとさき―維新150年」、日経=「パンゲアの扉 つながる世界」・社会面「1989年(平成元年)からの視線」(12月30日から)、産経=社会面「象徴 次代へ―皇太子さまの問い」、東京=「平成のことば」・社会面「憲法を見つめて」

 【元日号ページ数(かっこ内の数字は2017、16年の順)】朝日116(114、114)▽毎日76(76、76) ▽読売96(94、112)▽日経104(100、100) ▽産経72(76、80)▽東京56(58、56)(審査室)

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