6月 5日付 北朝鮮非核化へ結束を

近隣外交立て直しに期待

 北朝鮮を巡る情勢が激しく動く中、日中韓の首脳会談が5月9日に東京で開かれた。各紙は社説で約2年半ぶりに実現したサミットの意義を論じた。表面化した温度差や、北朝鮮の非核化、拉致問題の解決にどのように結び付けるべきかについての主張も展開した。

中国参加の意義大きい

 北海道は「一時は歴史や領土を巡る摩擦から首脳の往来もできなかった日本と中韓が関係改善を本格化させ、完全非核化という目標を共有できた意義は大きい」と評した。「日中韓が北朝鮮の非核化という共通目標の達成に向け、連携して臨む姿を見せられたのは意義深い」(北國)―のように、3国の連携を中心に据えた論評が多かった。徳島は「とりわけ、北朝鮮との関係が深い中国が日本や韓国と結束して取り組む意味は大きい」、岩手日報も「北東アジアの平和と安定をたぐり寄せるために、3カ国が結束を示した意義は大きい」とした。

 一方、北朝鮮の非核化を巡って、山陽は「温度差が露呈した形となった。日本は北朝鮮が具体的行動を取るまで最大限の圧力を維持する方針だが、北朝鮮の後ろ盾でもある中国は対話重視」と指摘した。産経は「『非核化』の溝はなお深い」として、中朝会談で「『段階的措置』を支持した」中国について「日中韓サミットでは李克強中国首相が参加して北朝鮮の『完全な非核化』を目指すことを確認した。二枚舌に等しいではないか。対北融和の流れを断ち切るべきである」と注文した。

 こうした姿勢の違いについて、中日・東京は「それだけに日本が主導し『北朝鮮の完全な非核化』での連携を確認したことは重要だ」と指摘。「各国がバラバラに北朝鮮にアプローチするのではなく、米国も含め、朝鮮半島の新たな平和構想を練り上げていく努力をするべきだ」と主張した。

 日経は「北朝鮮の後ろ盾となる中国が完全な非核化の重要なカギを握る構図は、変わらない」として、「米国との結束を固めながら、中韓も取り込んだ重層的な外交を展開すべきである」と日本政府に求めた。読売も「目標達成まで、北朝鮮への圧力を維持する」日本政府の基本方針は適切だとし「中国にも足並みをそろえるよう、働きかけるべきだ」と主張した。

 一方、「日中韓の利害はそれぞれ異なるが、『日本対中韓』の構図を放置すれば北朝鮮を利するだけだろう。中韓との綿密な調整を継続すべきだ」としたのが毎日。琉球は「そもそも朝鮮半島の非核化は、北朝鮮だけが責任を負うべきものではない。北朝鮮に早期に核を放棄させるため、北朝鮮を強く刺激する米韓合同軍事演習などを廃止し、在韓米軍も完全撤退させる必要がある」と主張した。

 山口は「韓国大統領の来日は約6年半ぶり、中国首脳の来日は約7年ぶりだ。この時間の長さ自体が、日本政府の近隣外交の『空白』を物語るものだった」として、「日中韓首脳会談を近隣外交立て直しのスタートにすべきだ」と論じた。朝日も「東アジアの平和と安定は日中韓3カ国に共通の利益である。朝鮮半島情勢の軟着陸をはかるためにも、緊密な連携が不可欠だ」と指摘した。

 「共通利益と未来志向を確認し合う場として、年1回の日中韓首脳会談の持ち回り開催を定着させたい。日中で合意した経済協力案件を含め、今回の成果を、次の会談や2国間の首脳往来へ確実につなげたい」と京都は提案。高知は「今回の会談を首脳会談の連年開催や首脳が相互訪問する『シャトル外交』の推進につなげたい」と主張、「シャトル外交を強化することで、自由貿易協定(FTA)といった経済分野の協力も進むはずだ。領有権問題などの緊張緩和にも一定の道が開けよう」と論じた。

日朝対話実現に向け

 「北朝鮮と首脳対話を進める中韓両国に対し、糸口をつかめない日本の苦しさもにじむ。安倍首相は拉致問題の早期解決に向けて協力を要請し、日本の立場に理解を得た。いつまでも他国頼みではいられない。直接交渉へ、努力を重ねなくてはならない」と信濃毎日は外交に注文をつけた。「圧力一辺倒の強硬路線を続ければ、日本は蚊帳の外に置かれ孤立するおそれがある。軌道修正を図って3カ国の協調体制を維持し、日朝会談につなげるべきだ」(沖タイ)に加え、神戸も「両国の協力を得ながら拉致問題の解決に向け、日朝首脳の直接対話も視野に入れた対応が必要となってくる」と主張した。

 福井は、拉致問題の解決を念頭に「日本は自ら日朝対話の実現を図りたいが、手詰まりとの指摘がある。ならば中韓のチャンネルを最大限駆使する手も模索すべきだ。そのためにも、日中韓で確認した自由貿易協定(FTA)交渉の推進など経済対話を通じて、連携を密にする努力が必要だ」と論じた。(審査室)

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