2013年 8月6日
多文化共生の在り方考える

岐阜「ジャポネス・ガランチード 岐阜からブラジル移民100周年」

 岐阜県内には約1万人のブラジル人が住んでいる。ピークだったリーマン・ショック直前の半分だが、より地域に密着した暮らしを選ぶ人が増え、彼らと向き合う地域や企業も少しずつ変わってきている。連載を担当する報道部の馬田泰州記者は、「ブラジル移民はとても身近な存在だが、彼らや岐阜からブラジルに渡った人々の歴史を知る人は少ない。地方紙ならではの定点観測的な視点で、現在につながる両者の関係を描きたい」と話す。

 100年前、ブラジルで日本人移民の受け入れが始まり、岐阜からも11家族44人が移住した。移民たちは奴隷同然の扱いを「頑張る」と「我慢」の合い言葉で乗り越え、「ジャポネス(ポルトガル語で日本人)」と言えば、「ガランチード(信用できる)」と認識されるほどの地位を築いた。

 6月23日付朝刊で始まった第1部「歴史」は6回にわたり、岐阜からブラジルに移り住んだ人々の足跡を追った。8月5日付朝刊から始まった2部では、日系ブラジル人3世の男性を通して移民と地域のつながりを描く。3部は25日にサンパウロで開かれるブラジル岐阜県人会の記念式典や南米諸国の日系人社会を取材し、4部で県内の日系ブラジル人社会の実態に迫る。

 今年3月、美濃加茂市にある大手電機メーカーの工場が閉鎖した。3千人規模の雇用が失われたが、その半数が日系ブラジル人だ。ブラジル人向けのスーパーや学校、教会もあおりを受けている。移民は働き手としてだけでなく、消費者としても県の経済を支えてきた。

 デスクの裁成人報道部長は、「弱者にしわ寄せがいっている状況と、正面から向き合う必要がある。地元紙として、多文化共生の在り方を考えたい」と話している。(さ)

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