2015年 1月1日
地域の食文化に理解を

北國「広めよう 加賀料理」 

 京料理に知名度は及ばないが、決して引けを取らない加賀料理の魅力を多くの人に知ってほしい―。今年3月の北陸新幹線開通を見据えて始まった連載は、「地域が誇る食文化に対する読者の理解を深め、PRしたい」(森田奈々社会部記者)との思いが出発点となった。昨年4月から毎週水曜日朝刊で展開。12月末まで計39回連載した。

 北國は松竹と合同制作した映画「武士の献立」の公開に合わせ、2013年に映画と同名の連載を開始。江戸時代の献立の再現レシピを掲載したが、このときの経験が今回の取材のベースになった。

 文化の集合体、総合芸術と言われる加賀料理。しかし、意外なことに決まった定義はない。江戸時代、加賀藩前田家の供応料理をルーツにした同地方の料理を「加賀料理」と呼ぶことが多いという。料理や食材だけでなく郷土の伝統工芸や礼儀作法などの文化にも注目し、ひも解いた。

 連載では加賀野菜、ノドグロ、能登ふぐなどの食材の紹介にはじまり、400年前から作られてきた甘口の「大野醤油」、ぬかや麹で魚介類や野菜を漬け込む「発酵文化」など、加賀料理のルーツを追った。器や料亭文化、加賀藩の料理人・舟木伝内の食材辞典や料理書なども取り上げた。

 森田記者は「加賀料理は奥が深く、郷土の歴史や文化、芸術を勉強しないと取材できなかった」と振り返る。翻刻(ほんこく)されていない近世の料理書を図書館に通って読み解き、料理人に再現してもらったこともあったという。

 連載から見えてきた加賀料理の特徴は「温故知新」だ。「伝統を守るだけでなく、常に新しい食材や料理法を探し変化を求め続けてきた」と森田記者は話す。古い歴史ある地域という印象が強い石川県だが、食を通じて実はチャレンジ精神が旺盛な土地柄であることを再発見し、読者に伝えたという。(愛)

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