2015年 11月17日
変わる歓楽街の姿を記録

北海道「ススキノ 今を映す街」

 日本有数の歓楽街、札幌・ススキノ。妖しい魅力を持ち、多くの人を引きつけてきた街の姿は変わりつつある。娯楽の多様化、若者の飲み会離れ、飲み歩き文化を支えた団塊世代の定年退職、外国人観光客の急増―。社会の変化を反映し続ける夜の街の今を、札幌圏版で連載している。

 正式な統計はないが、バブル時に6千軒を超えたといわれるススキノの飲食店は現在、半分近くまで減ったとの指摘がある。往年の活気が失われているとの声がよく聞かれる。梶山征廣報道センター次長は「ススキノは変化しているとの実感はあるが、どのように変わったのかを取り上げてこなかった。新しい街だという視点で見つめ直し、記録することに意義はある」という。

 梶山氏が「今のススキノを知るための入門編」と話すのが、今年7月に掲載した第1部の「新しい風」(計7回)だ。定年退職した男性客で昼ににぎわうスナック、若者向けにSNSで情報発信に取り組むバーなど、変化に対応しようと新しい試みが進む。

 8月末から先月下旬まで展開した、第2部「しごと模様ひと模様」では探偵、「ニューハーフショークラブ」のダンサー、酒卸会社の営業員ら、ススキノで働く10人の横顔を伝え、変化を尋ねた。

 女性や家族連れのショークラブへの来店が増えたこと、飲まれる酒の移り変わりなど、さまざまな変容が語られる。札幌圏遊軍グループの五十嵐知彦記者は「今を知るためには、過去との比較が重要だ。以前の話を徹底的に聞くことで、今の姿を浮かび上がらせたかった」と話す。

 夜の街にはぼったくり被害などの問題が潜む。今月下旬から始まる第3部以降でそれらをテーマに取り組む。梶山氏は「ススキノを描くためには、表層だけではなく、深層まで書く必要がある。底なし沼のような歓楽街を掘り起こし、実像に迫りたい」。(新)

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