2016年 2月16日
貧しさの背景を追う

琉球「希望この手に―沖縄の貧困・子どものいま」

 沖縄県の子どもの貧困率は全国平均の2.7倍の37.5%に上る。今年1月、18歳未満の子どもを育てている世帯の3分の1以上が、貧困状態に陥っているとの調査結果が明らかになった。

 同居の祖母に足にたばこを押しつけられて食事も与えられなかった少女、酒におぼれ暴力や暴言を繰り返す父、非行から立ち直り家族を築いた女性―。1月10日から始まった第1部は、貧困の現場にある子どもたちを17回にわたって取り上げた。

 滝本匠・社会部デスクは「ある要因で誰でも貧困に陥ることを示すことが狙いだ」と話す。会社の倒産や、生活保護の申請の仕方が分からないといった、背景を描き出す。

 社会部の岩崎みどり記者は小学生のときからアルバイトで、家計を支えた少年を取材した。学校に行かなかったことを後悔していないと話す少年に対して「彼の言い分を否定すれば、これまでの人生を否定することになり、自尊心を傷つけてしまう」と悩んだという。取材の趣旨を丁寧に説明し、時には自分の悩みを打ち明けながら話を聞いた。少年は数回目の取材でうつむきながら、絞り出すように「高校、行きたかった」と語った。

 少年は取材を受けたことを別々に住む両親に知られたくないという思いもあった。岩崎記者は「具体的に書けば特定されてしまうが、曖昧に書けば読者に具体性を持って伝えることはできない。そのバランスに悩んだ」と打ち明ける。

 沖縄の貧困の背景には米軍統治が続いたことによる福祉行政の整備の遅れや、失業率の高さといった構造的な課題が横たわる。今月始まる第2部から貧困の階層化や、就学援助が行き届いていないなど課題を取り上げる。滝本氏は「貧困を抜け出す具体的な提言を心がけたい」と語った。(新)

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