2016年 7月26日
「死」と向き合い豊かな人生を

下野「ハッピーエンディング 終活のすすめ」

 遺品を整理するために時間がかかる、遺産分割で大切な家族に亀裂が入ってしまう、突然の宣告で終末期医療の選択肢を告げることに悩む―。超高齢社会を迎えて、死に伴う事柄に備えることは多くの人に共通する切実な問題だ。

 いかに死と向き合い、充実した人生の終わりを迎えるか。エンディングノートや生前整理、相続など「終活」に取り組む高齢者の姿を1月から毎月1回、くらし面で伝える。

 「高齢社会が進む中で、一人一人が準備をしていかなければ立ちゆかなくなってしまう」と話すのは、くらし文化部の荻原恵美子部長代理。連載では身近な人が取り組んでいるケースと、読者が参考になるような専門家のアドバイスを載せ、「シニア世代が終活に前向きに取り組めるような連載を目指した」。

 アンケートでも多くの人が前向きに受け入れつつあるとの声もあり、「人生を豊かにするのが終活」という専門家の意見も紹介した。一方で「『縁起でもない』と、他人に話すことや新聞に掲載されることへ抵抗感もあり、取材の難しさがあった」と小林睦美同部記者は語る。専門家への取材や福祉関係者の会合、高齢者向けの結婚相談所などあらゆる機会を捉えて取材対象を探したという。

 仮名を条件に話を聞くことも多い。夫が脳出血で緊急搬送され、医師から意識は戻らないと伝えられた60歳代の妻は延命措置を断った。周囲への影響に配慮し仮名での掲載となった。「今、子供たちが見ている私の姿で死んでいきたい」と自身も延命措置は望まないともらした。

 「終活は一人の問題でなく、さまざまな人との関わりの中で進めるものだと実感した」と話す小林記者は、30歳代後半ながら銀行口座の整理など終活に取り組むようになったという。今後は、葬儀やお墓といった課題を取り上げる。(新)

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