2016年 10月18日
若手記者、地域の歴史追う

神戸「ロスト阪神 あの日の光景」

 時代とともに町並みは変わる。神戸―大阪間の阪神地域には、かつて遊園地や野球場など中高年が子ども時代に心を躍らせた場所がいくつもあった。9月21日付から28日付まで、阪神地域版の5回連載で昭和の失われた風景を追った。

 宝塚ファミリーランドと阪神パークは遊園地や動物園、植物園を併設した複合レジャーランドだった。阪急西宮球場はプロ野球阪急ブレーブスの本拠地として知られる。昭和の時代、休日には家族連れや「アベック」でにぎわった。

 いずれも2000年代初めごろまでに閉鎖され、跡地は庭園やタワーマンション、ショッピングモールなどに生まれ変わった。現地に当時の面影はない。

 取材に当たったのは20代から30代後半の記者5人。連載を統括した中部剛阪神総局編集主任は「我々の世代にとっては思い出の場所ばかりだが、若い記者は全く知らない。地域の歴史を彼らに知ってもらいたいという思いもあった」と語る。

 記者はかつて現地で働いていた人や郷土史家を訪ねて当時のにぎわいやエピソードを聞いて回った。生まれる前の時代について「自分なりに消化して記事にするのは骨が折れた」との声が上がったという。

 当時の様子と現在の姿を詳しく描写し、さらに往時と今の写真を並べることで、コントラストを際立たせた。連載を紹介したフェイスブックページには、中高年を中心とする読者から「結婚前にデートで出かけた」「よく子どもを連れて行った」「どこに何があったか覚えている」など当時を懐かしむコメントが寄せられた。

 中部氏は「親子で出かけるときの話題になるよう、夏休みの時期に連載したかった」と明かす。夏の甲子園に地元の市立尼崎高が出場したため、掲載が9月にずれ込んだ。(有)

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