2017年 2月21日
再犯者の実態と支援の動き

上毛「迫る 罪と社会復帰」

  「どうしていいか分からない」。前橋刑務所で面会した記者に震える指先で頭をかきつつつぶやいた。知的障害を持つこの40代男性は、高崎市の住宅から女性用のズボンを盗み保護観察付きの執行猶予刑を受けた。更正のため障害者施設に入った2日後にコンビニで雑誌12冊を盗む。帰り道が分からなくなって警察に保護された1か月後に発覚し、窃盗罪で起訴された。

 犯罪を繰り返す知的障害者や高齢者に加え、彼らの支援者を取材し、再犯抑止に向けた取り組みを追った。1月16日付から27日付まで全8回。報道部4人、地方部1人の5人体制で取材した。

 知的障害者の取材には困難も伴う。聞いた話の意味が分からなくても、誘導は禁物。報道部の五十嵐啓介記者は「中には取材に4~5時間かかった人もいる」と語る。事実確認には支援者団体を頼った。

 「盗まずにはいられない病気」と闘う人も紹介する。近年認知が進んできた精神障害で「クレプトマニア」と呼ばれる。

 42歳の女性は20年間、過食しては吐くことを繰り返してきた。「どうせ吐くなら買うのはもったいない」とばかりに、大きなかばんにあふれるほどのパンを万引した。渋川市の病院で、境遇や思いを他人の前で話す治療を続けている。これまでに6回服役した61歳の女性は14年前に同じ治療を始め、窃盗への誘惑を自制できるようになったという。

 弁護士や福祉関係者で作る「ぐんま・つなごうネット」は昨年11月、冒頭で触れた40代男性の支援を始めた。この活動に着目したことが、連載のきっかけにもなった。

 昨年12月に成立した再犯防止推進法は、出所者の立ち直りの支援を国と自治体に求める。県の取り組みはこれからだ。五十嵐記者は「今後もこの問題を追っていきたい」と話した。(O)

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