2017年 5月16日
「宗教離れ」の先には

京都「神仏のゆくえ 誰が守るのか」

 過疎や人口減少が進み、寺社を支えることが難しくなっている地域が増えている。「行く末はどうなるの10年以上にわたり京都、滋賀の寺社を取材してきた箕浦成克報道部次長が、4月26日付から5回連載で、その答えを探った。

 全国の寺院は7万5千以上。うち少なくとも約1万3千の寺で、常駐の住職がいないか別の寺の住職が兼務する。京都府や滋賀県の寺でも千以上が該当するという。連載に先立ち、仏教の主要13宗派に実施したアンケートで明らかになった。

 今年3月、京阪電鉄の三条駅に近い京都市左京区の金台寺と、近隣の正栄寺が合併した。いずれも本堂の傷みが激しい。両寺を兼任する住職が檀家と話し合い、金台寺を修復、合併する道を選んだ。修復費などの工面のため、廃寺となった正栄寺の土地売却も検討している。正栄寺の前住職が兼務していた島根県太田市の寺院も本堂が朽ちた。地元では任意解散を決めたが、土地、建物など残余財産の引き取り手がなく、廃寺できずにいる。

 廃寺になっても「困ったことはない」など、後ろめたさを感じさせない檀家もいた。「地方でも信仰心が薄れつつある」と箕浦氏。記事を読んだ知人の僧侶から「寺離れ、宗教離れが見抜かれているようだ」との感想が寄せられた。

 一方、数百年間あった場所から移転せざるを得なかった神社に取材を申し込んだところ、「まだ応じられない」と断られた。移転から5年の時間が経過していても、信仰を守る宮司の心の傷は癒えていなかった。

 「取材を通じ、想像以上に社寺と地域、市民との関係性が変化していることを実感した。これからも継続した取材が必要だと感じた」と箕浦氏は振り返った。(有)

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