2017年 9月26日
避難促すのは経験者の肉声

神奈川「猛雨 激化する水害」

 短時間の大雨の際、気象台が発表する「記録的短時間大雨情報」は今年既に100回以上発令された。過去5年で最も多い。災害からいかに命を守るか。「防災の日」の9月1日付から、各地の試行錯誤を5回連載で伝えた。

 広島市の土砂災害(2014年)、台風10号(16年)、そして今年7月の九州北部豪雨。毎年のように発生する風水害で多くの人が犠牲になった。神奈川県でも短時間豪雨が増加傾向にある。報道部の渡辺渉記者は「地震や津波と比べ、大雨は身近なリスク。その危険性の高まりを読者に伝え、対応を考えるきっかけにしてほしいと考えた」と企画意図を語る。

 災害の専門家が有効な対策として挙げたのは「予防的避難」だ。豪雨の予測精度も高まっており、住民が危険な場所からの速やかに避難することで被害を防ぐことができる。対策自体は難しいことではない。課題は「一人一人がそれを実行に移すかだ」と渡辺氏は語る。

 今年8月の台風5号では、南足柄市で大雨警報が発令された。しかし、避難所に身を寄せたのは6世帯12人にとどまる。「面倒」「これぐらいの雨なら大丈夫」といった消極的な住民の反応に「何かあってからでは遅い。どうしたら意識を高められるのか」と悩む自治会長。

 「豪雨に直面したときに自分も避難できるか」―。自問自答の中で渡辺氏は、啓発のために被災経験者の肉声を伝えることを意識したという。

 例えば南足柄市の隣町・山北町では住民が町役場の指示を待たずに自主的に集会所を開放した。主導した自治会長は「山が崩れる前には葉っぱが腐ったようなにおいがする」と語り、過去の経験が判断につながったと説明した。「やはり経験の重みに勝るものはない。今後も肉声を意識的に伝えていきたい」と渡辺氏。(新)

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