2018年 1月23日
殻を破る伝統企業に着目 

中日「されど駄菓子 創意で生き抜く」

 少子化の進行が存続に関わるとして懸念を強める産業は多い。駄菓子業界もその一つ。逆境をはね返そうと積極的な宣伝や海外進出を図るメーカーの奮闘を1月5日付から5回連載で伝えた。

 名古屋の駄菓子産業の歴史は長い。名古屋城築城の際、働き手に菓子を売ったのが起源と伝わる。現在もメーカーや問屋が数多く集まる。年間1千万個以上を売り上げる「まけんグミ」、発売から半世紀を超える「粉末ジュース」など地元発の人気商品も多い。

 経済部の大橋洋一郎デスクによると、当初は「ロングセラー商品の開発秘話を紹介しようと考えていた」。しかし、問屋街や駄菓子屋の取材で明らかになったのは想像を超える経営環境の厳しさだった。

 少子化、原材料費の高騰、製造機械の更新―。このままでは先細りになるとの危機感が渦巻いていた。現状を打開しようと試行錯誤する企業の姿を伝える方針に転じた。

 連載の初回に据えたのはまけんグミを製造販売する杉本屋製菓(愛知県豊橋市)。「やれることは何でもやろうという切実さを感じた」からだ。グミの形状にちなみアイドルグループ「ぐーちょきぱー」をPRキャラクターに起用。音楽イベントや若手俳優を集めた演劇公演を企画し、幼少期に親しんだ世代の呼び戻しやブランド力向上を図る。

 粉末ジュースを看板商品とする松山製菓(名古屋市)は南米進出をもくろむ。海外では粉末ジュースは一般的で、潜在顧客は多いと読む。

 2台の包装機は1966年製。いつ壊れてもおかしくないが、国内需要だけでは更新に踏み切れない。海外市場の開拓に活路を見いだした。

 こうした挑戦は「少子化に立ち向かう他の製造業にも参考になるはずだ」と大橋氏は語る。「たかが駄菓子と侮ることなかれ」との思いを記事に込めた。(新)

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