2018年 2月13日
不屈の地場産業 底力探る

新潟「燕三条町工場物語」

 約3200の中小零細企業がひしめく新潟県の燕三条地域。日本を代表するものづくりの拠点は円高や不況を何度も乗り越えてきた。元日付から8回連載で、町工場の現状から県経済の活性化策を探った。

 取材の契機は地銀再編だった。最大手・第四銀行(新潟市)と2位の北越銀行(長岡市)が10月、経営統合する。報道部の武田雅裕記者は「地方経済の疲弊が形となって現れた」とみる。こうした中でも活力を維持する地場産業に着目した。

 武田氏は「職人は寡黙な人が多い。困難をどう克服したか聞き出すのが大変だった」と振り返る。燕三条の支局にいた約20年前の思い出話をしながら、相手の心をほぐしていったという。

 精密板金加工を手掛ける戸塚金属工業(燕市)は2009年、元請け企業のつまづきで収入源をほぼ絶たれた。追立俊朗社長は協栄信用組合(燕市)の担当者と膝詰めで解決策を話し合った。

 さまざまな仕事を引き受け、会社は持ち直す。「燕の会社は簡単に諦めない。辛抱すれば必ずいい時が来る、それまで頑張るためにお金を借りる強さがある」。かつて戸塚金属工業を担当した協栄信組の皆川浩常務理事の言葉を伝えた。武田氏は「産業は企業と金融機関の二人三脚で成長すると実感した」と語る。

 課題は人材育成。スプーンなどの金属製品に欠かせない「磨き屋」は職人の高齢化や工賃の低さなどで廃業が続く。スワオメッキ(燕市)の鈴木康仁常務取締役は若手の早期離職を防ぐため「とにかく丁寧に教え、育てようと取り組んでいる」と取材に答えた。「磨きのこつは自分で覚えないといけない」と若手の背中越しに温かいまなざしを注ぐベテラン職人の姿も伝えた。

 今後は県全域を見渡し、他県との産業政策の違いを検証するという。(工)

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