学生優位の市場で企業はいま

北海道「採用戦線異状あり」

  「内定があるから、そりゃ安心感はありますよ」。5月下旬、札幌市内での企業説明会に参加した小樽商科大4年の男子学生の言葉だ。就職支援会社の電話調査によると、5月17日の時点で北海道内文系学生の約4割が来春採用の内定を得ている。

 背景には、空前の売り手市場に飲み込まれている企業側の焦りが垣間見える。学生に会うことすらままならなくなるという不安から、多くの企業が経団連が指針で示す6月1日の選考解禁を待たずに内定を出す。6月まで待つ社も、期待する学生と個別に連絡を取るなど採用確保に躍起だ。経済部の宇野沢晋一郎記者が、学生優位の採用現場で模索する道内企業の姿を追った。6月5日付から全4回。

 道内の生産人口が先細る中、宇野沢記者は「従来の採用の常識は通用しない」と見通す。新卒にとらわれず、外国人や主婦、シニア人材の活用を探る社を取材。特に人材不足にあえぐ中小企業は、採用活動の枠を超え働き方を変えていることも紹介した。

 「2年前100人だった応募者が今年はまだ数十人。選考が成り立たない」。パッケージ制作のティーピーパック(札幌市)の池川和人社長は頭を抱える。応募者増に向け、まずは来年1月から土曜勤務を廃止し、完全週休2日制を導入する。「いま変えなければ、企業が維持できなくなってしまう」(池川氏)。

 全国紙の記者時代から企業の働き方や採用活動に注目してきた宇野沢記者。今年4月、北海道に移籍。「他地域に比べて人材不足が深刻だ」と感じている。政府は6月15日、人手不足を背景に外国人材の受け入れを拡大する方針を示した。

 宇野沢記者は、北海道の中小企業でも外国人を受け入れる動きが進むとみる。新たな人材開拓に奮闘する道内企業を今後も追う。(工)

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