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ゆりかごの子が親を知るには

熊本日日「内密出産を考える」

 赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を置く熊本市の慈恵病院では、妊娠相談から出産まで匿名を通すことができる新たな制度「内密出産」の導入を検討している。松本敦記者ら4人の取材班が「ゆりかご」の実態と内密出産を考える足掛かりを提示した。6月5日付から全4回。

 ゆりかごに預ける母親の約半数は誰にも知られずに産みたいとの思いから病院に通わず、自宅や車中などで一人で出産するという。医療介助のない「孤立出産」は母子の生命にとって危険が大きい。ゆりかごの匿名性は命を守るためにはやむを得ないとも言える。だが預けられた子供から「出自を知る権利」を奪うという問題もはらむ。慈恵病院の「内密出産」案のモデルはドイツの制度。検査段階から出産まで母親の匿名を守り、出産後は父、母が空欄の「一人戸籍」のほか児童相談所が実母と面談して「出自証明書」を作成する。この手続きにより、子は18歳以上になれば証明書の閲覧請求が可能となる。

 これまでゆりかごに預けられた赤ちゃんは137人。このうち93人が県外から。「一自治体、一病院だけで進める取り組みではない。児相や児童養護施設、養子縁組を含め社会でどうやって子供を育てていくか考えるべきだ」との大西一史熊本市長の訴えも盛り込んだ。

 ゆりかごに預けられた子供の対応に当たったことがある養護施設の職員によると、大半の子供は大人になるにつれ、本当の親を探そうとするという。だが、日本にはドイツのような制度がない。電話相談で、匿名がだめなら自宅で産むと話す母親もいる。「できるだけ早い制度化と周知が必要」と松本記者は話す。今後は児相職員や養子縁組に携わる人への取材を通して子供にとって一番良い「育ち方」を探るという。(黒)

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