7月31日付 価格変動の背景解きほぐす

日本農業「野菜乱高下 課題を探る」

 近年、野菜価格の変動が激しい。要因を探るため、生産、流通、消費の各段階を農政経済部の音道洋範記者が取材した。6月7日付から全4回。

 この春、急激な気温上昇で育成が遅れていた作物が一斉に成長した。埼玉県深谷市のブロッコリー農家は一家7人で連日午前1時から午後6時まで収穫したが追いつかず、600万円の損害を出した。相場の下落にも見舞われ、収入はさらに落ち込む見通しだ。

 音道記者の拠点は、国内外の野菜が集まる東京都中央卸売市場大田市場の記者クラブ。早朝から市場を観察すると、輸入野菜が以前より増えていることに気付いた。加工業者や飲食店が買いつけるからだ。

 これまでも異常気象などで国産野菜の価格が上がるたび、輸入野菜が一時的に流入していた。しかし、最近は単発の取引を嫌う相手国の業者との長期契約が増えた。国産品の価格が安定すると輸入品は余り、仕入れ値以下で投げ売られる。こうして市場価格全体が暴落する。

 人気のカット野菜が価格低迷の一因になっていることも分かった。カット野菜は仕入れ価格の変動分を小売店や仲卸業者が吸収し、安定した価格で売られる。生鮮野菜の価格が落ち着いても、少量のカット野菜を選ぶ人が増えた。総需要が先細る要因になっている。

 「高齢化と働き手不足で栽培管理が不十分になっている。地域を越えた生育情報の共有や産品の一時貯蔵などを進めるべきだ」との識者の声も紹介した。音道記者は「農家が価格高騰でもうけているとの誤解を解きたかった」と連載の狙いを話す。

 自身も兼業農家として生産に携わった経験を持つ。「生産現場は目の前の作物にかかりきりで全体像が見えない。取材しなければ見えてこない背景をこれからも伝えたい」(路) 

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