風評を跳ね返す拠点に

福島民友「聖地復活へ Jヴィレッジ再始動」

 東京電力福島第一原発事故後、事故対応の拠点となっていたサッカー施設Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)。7年4か月余りの休業を経て7月28日、一部再開を果たした。連載デスクの菅野隆一報道部長は「日本代表の合宿にも使われていたJヴィレッジは福島のプライドの一つ」と話す。施設関係者や地元住民の思いに迫った。7月24日付から全3回。

 報道部の水野智史記者は、取材相手1人あたり1時間ほどかけて話を聞いた。「7年分の思いを限られた紙面でどう表現すればいいか悩んだ」と話す。Jヴィレッジを知らない若い世代も増えた。読者に共感してもらえるよう、相手の言葉を吟味したという。

 ピッチが砂利や鉄板で覆われ、駐車場や資材置き場となった7年前。Jヴィレッジホテル事業グループ課長補佐の後藤朋久氏は「もう戻ってこられない」と覚悟した。後藤氏は施設全体の収益の6割を占める宿泊部門を担う。天然芝のピッチの復活と再開を喜ぶ一方、原発事故による風評問題が頭から離れない。「保護者が1人でも反対すれば合宿地として敬遠される。安全性をアピールし、宿泊者増につなげたい」と取材に答えた。

 ふたば未来学園高(広野町)の石上怜央さん(17)ら3人は授業の一環で、Jヴィレッジを核にした地域活性化策を考案した。特に風評対策に着目した。

 3人はいわき市出身。同校に進学が決まった際、放射線量に不安を覚えたという。しかし、日常を取り戻した町民の姿に安心した。石上さんはこの経験から、風評を跳ね返すには「現状を見てもらうこと」が必要だと記者に話した。イベントを通じてサッカー関係者以外の集客も強化するべきだと提言した。

 菅野氏は今後も「福島の将来を担う若者の思いをフォローしたい」と話した。(工)

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