保存に向けた実情追う

長崎「人類の宝  第2部 潜伏キリシタン遺産の課題」

 17~19世紀の間、潜伏キリシタンが作り上げた日本独自の信仰形態や歴史を表す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が7月4日、世界文化遺産の一つに認定された。構成資産は12に及ぶ。

 長い道のりを経ての認定。肩の荷を降ろした関係者も多いが「人類の共通の宝」としての保存活動が始まる。松尾潤報道部次長は認定までの動向を追った4年間の集大成として、各地域をカバーする支局の記者7人とともにさまざまな課題に迫った。7月5日付から全8回。

 遺産認定は観光客の増加につながった。一方、いずれも本来は信仰にとって神聖な場所。「どっと来られると余裕がなくなり笑顔で応対できなくなるのでは」と不安を漏らすのは出津教会守の尾下シゲノさん(69)。さらに今回認められた12か所の資産のほとんどが廃村や無人島に所在する。維持・管理費の確保の難しさに加え、集落や村の過疎化が進み棚田などの管理の担い手不足は深刻だ。ガイドの量と質の確保という難題にも直面している。

 松尾氏が心掛けたのは「それぞれの地域が抱える課題が分かる記事」。地域に詳しい現地記者と取材に赴くなど「より各地域の実情を洗い出す」ことを意識した。

 対象は登録資産のみにとどまらない。例えば枯松神社。禁教期に長崎で伝道したジワン神父を埋葬したといわれる聖地であり、地域の大切な宝だ。県は同神社を含めた県内の他の史跡と熊本県天草の計106か所を関連歴史文化遺産群に登録、ウェブサイトで紹介している。だが、構成資産と比べ注目度や保存にかける意識は格段に違い、波及効果は小さい。松尾氏は追加登録を目指し住民が行動を起こすのではと見込む。「今後も動きがあれば地元紙として取り上げ、後押ししたい」と話した。(黒)

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