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立ち直り願う心 手料理に込め

静岡「非行少年の傍らで 更生保護女性会」

 藤枝市役所でふと手にした広報紙から取材は始まった。非行少年の立ち直りを願い、ボランティアで支援する更生保護女性会(更女)。静岡県に32地区ある組織の知名度は低いものの、その歴史は60年に及ぶ。「熱意を持って支援する『縁の下の力持ち』の姿を伝えたい」。夕刊特集「こちら女性編集室」担当の加藤愛己記者がその活動に迫った。8月27日付から夕刊で5回。


 更女は2003年から週2回、更生保護施設での夕食作りを続ける。材料費以外は自費。昼間に調理し夕方には帰るため、食べる姿は見たことがない。


 施設に身を置く少年が手伝いに来たある日、藤田弘子さん(62)がタマネギを刻む少年の隣から「涙が出そうだったら言ってね。拭いてあげる」と声を掛けると、皆が笑顔になった。施設には少年院を出ても引き取り手がない人が集まる。藤田さんは「しっかり食べて真面目に働けば助けてくれる人は現れる」との思いを「孫へのごちそう」に込める。


 彼らに共通するのは家庭に居場所がなく、自己肯定感が低いこと。共働き家庭が増える中、更女は子育て支援にも力を入れる。「心に余裕がある人が身近にいなければ、褒めることも認めてあげることもできない」との会員の言葉を伝えた。


 更女の取材は初めて。加藤記者は情報の保秘を重んじる更女との信頼関係づくりに半年を費やした。32地区の代表が集う2日間の研修にも同行したという。


 非行少年はいじめや虐待の被害者が多い。静岡少年鑑別所の吉田智子所長の言葉が心に刺さったという。「非行少年の将来を支える人の存在を伝えることは、被害者支援と同じくらい大切」と加藤記者。少年法の適用年齢引き下げの議論も進む。「少年犯罪の背景に何があるのか、社会で考える必要がある」 (海)

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