正念場迎える漁業の実情ルポ 

河北「縮む浜 三陸・大船渡から」

 東北有数の水産基地・岩手県大船渡市が深刻な漁業不振にあえいでいる。サンマやサケなど主力魚種の記録的不漁に加え、貝毒禍が養殖漁業を襲う。今年7月には、地元経済をけん引してきた水産加工の老舗・太洋産業がまさかの倒産。「三陸の浜で何が起きているのか」(大船渡支局・坂井直人記者)。かつてない危機の実情に迫った。8月14日付から全3回。


 原料不足と価格上昇が加工業者を苦しめていた。大船渡市魚市場の2017年度総水揚げ量は3万7604トン。ピーク時の44・6%減だ。原料の1キロあたりの平均単価は前年度比28円増の186円。連載では、主力のイカ以外に地元産フグなどの安価な他魚種も扱い、生産ラインの複線化を進める加工会社を紹介。「不漁のただ中で水産加工業が自己変革を迫られている」と記した。


 大船渡の綾里漁協の17年度定置網水揚げ額は約4億7千万円。最盛期の約12億円を大幅に下回る。サケやマスの不漁に加え、太平洋クロマグロの資源管理厳格化が追い打ちをかける。国際合意に基づき、国は定置網など沿岸漁業にもクロマグロの漁獲枠を設けた。


 網からマグロだけを逃がす作業は手間が掛かる。マグロ保護のため他魚種の水揚げも減る。休漁という手立てもあるが共済補償は100%ではない。「定置網漁をやりたいと思う若者が減り、浜の衰退にもつながりかねない」と危惧する佐々木靖男綾里漁協組合長の声を伝えた。


 大船渡周辺の漁協は給与の引き上げなどで乗組員のつなぎ止めを図る。待遇面に加え「若者が漁師になりたいと思えるような浜を作らなければならない」と坂井記者。浜の存続は、後継漁師の育成にかかっている。行政などとともに支援策を考えなくてはならない時期。正念場を迎える漁業関係者の奮闘を今後も追う。(工)

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