農家支える本分守れるか

 秋田魁「JA一本化の行方」

 秋田県内14JAの組合長らでつくる組織整備・経営改革推進本部委員会は10月17日、2024年度をめどに統合を目指す方針を決めた。規模拡大で農産物の販売量を確保し、価格交渉を優位に進める狙いだ。

 多くの農家にとっては寝耳に水だった。「JAの意義や在り方についてみんなに考えてほしい」。政治経済部・高橋さつき記者ら3人が、一本化構想が浮上した背景や課題を追った。10月19日付から全3回。

統合が実現すれば正組合員数で全国1位、農産物取扱高で2位となる見込み。課題は各JAの財務状況の格差。ある組合長は、コメ直接販売事業で63億円の赤字を抱える秋田おばこなど「経営努力が足りず、財務基盤も弱いJAと一緒になれば今までの成果が水の泡だ」と懸念する。

 農林水産省の統計によると、16年度の県内JAの事業総利益のうち信用、共済の金融事業は46・9%。農業関連事業の52・1%に匹敵する。ある組合長は「金融事業に頼らなくてもやっていけるのに」と話した。「組合員には説明していないが、財務基盤強化で金融事業を守る狙いがあるのではないかと気付いた」と高橋記者。

 農産物の販売や営農指導といったJA本来の業務がおろそかにならないか、との懸念が生産者の間に広がっていることも伝えた。県南のコメ農家の男性によると、20年ほど前に地域のJAが合併し本所が支所になった。その後の再編で支所も廃止に。営農指導も少なくなった。「地元に密着したJAがなくなれば、関係は疎遠になる」との言葉を報じた。

 高橋記者は「人が減る中で経営基盤を強化しなければならないとの考えは分かるが、JAと地域のつながりを残せる方策を探るべきだ」と語る。一本化が組合員のためになるのかを今後も注視する。       (工)

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