学業との両立阻む現状問う

中日「日本スポーツの源流 武士道精神 新五輪書 常識の巻」

 時に過剰な根性論が顔を出す日本のスポーツ文化を問い直す連載の第4部。意味のない声出しや、ひたむきさを求める風潮は今も残る。こうした固定観念に観客までもがとらわれている現状に疑問を呈した。11月27日付から5回。運動部の小杉敏之デスクが指揮を執った。

 強豪校で強調されがちなのは「一意専心」の姿勢。記事では「何かに一筋」というだけで良しとする美徳が学業との両立を阻んでいると指摘した。

 好例は元バレーボール選手のヨーコ・ゼッターランド氏。母親が日本人で、高校時代から日本代表候補として期待されていた。高卒で実業団入りが常だった当時に、大学へ進学。「世界のトップを目指すピアニストに、バイオリンを弾く暇はない」と批判を浴びた。

 その後米国代表としてバルセロナ五輪で銅メダル。現在、東京五輪・パラリンピック組織委員会理事などを務める同氏は「引退して競技以外に何もできないんじゃ、やっぱり困る」と訴える。

 プロ野球・中日ドラゴンズに入団した根尾昂選手も「文武両道」に秀でた一人だ。中学時代はスキーで日本一。学業成績も上位だったという。

 ロンドン特派員時代に日本のスポーツ精神に違和感を持ったという小杉氏は「選手を型に当てはめることにひずみが生じている」と話す。Jリーガーだった自身の経験も企画に生きた。

 アテネ五輪で体操男子団体を実況したNHKの刈屋富士雄氏も登場する。過去には「選手の『頑張ります』とのコメントが取れないと、取材者として未熟」と感じていたという。「でも、歩いている人に『歩け』というようなもの」と語った。

 小杉氏はメディアが好む選手のメダル宣言や感動秘話も固定観念の一つとみる。「日本人のスポーツ観の乏しさはメディアの反省点でもある」(海)

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