2019年 2月26日
435人調査 実像と本音に迫る

 

長崎「議員の実情」

 平野剛長崎市議の議員報酬は手取りで月額約51万円。毎月5~10万円の赤字で、不足分は妻の収入に頼る。昼間働く支援者に会うのは主に夜。「税金で飲んでいる」と言われるのはつらいが、彼らの悩みや本音を聞き、政策作りに生かしたいとの思いがある。

 県内の地方議員全435人を対象に実施したアンケート結果を基に、記者6人が議員の実像や本音に迫った。1月6日付から全12回。

 地方議員は大半の読者にとって身近な存在ではなくなった。彼らの「等身大の姿を描きたかった」と下釜智報道部次長は話す。アンケートには、地元の課題や県政への意見を問う設問だけでなく「議員報酬は適正か」「理想と現実にギャップを感じるか」などの問いを盛り込んだ。回収率は92・6%に上った。

 議員のなり手不足は深刻だった。昨夏引退を表明した西彼杵郡区選出の三好徳明県議は、かつて県議会議長も務めた7期目の重鎮。しかし後継打診を6人に断られた。「選挙に金が掛かるし、ちょっと失策すればマスコミにたたかれる。権限も昔ほどない」と本音を打ち明けた。取材後、後継候補が決まった。

 55%の議員が報酬について「少ない」と回答。月額20万円を切る自治体もある。政治に関心を持つ若者が少ないことも問題ながら「処遇の見直しも考える必要がある」と下釜氏は述べた。

 議員から、議会の傍聴者が減ったとの指摘もあった。「有権者が貪欲になることが重要」という識者の声を紹介。神奈川県相模原市で、市民団体が議員別の成績表を作り議会を活性化させた例も伝えた。

 2015年の県議選の投票率は50・89%と過去最低だった。下釜氏は「住む町の将来を決めるのは首長、議員だけでなく有権者自身だということに気付いてほしい」と力を込めた。(路)

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