分断と対立 日本の映し鏡

新潟「NYスタイル」

 報道部の横山志保記者は北朝鮮による日本人拉致問題を長く取材してきた。今年1月まで8か月間、社の海外派遣研修制度を使い米ニューヨーク(NY)市に滞在。在日朝鮮人帰還事業について調べた。

 しかし、関連資料を読み込んでいたメリーランド州公文書館が予算失効に伴い閉鎖。帰還事業の調査は道半ばに。予定していた連載のテーマを急きょ切り替え、NY市民の政治や文化との向き合い方に焦点を当てた。移民政策への反対デモや全米オープンテニスなどに関する取材の蓄積を生かした。2月20日付から全6回。

 滞在中は文化の違いに戸惑うこともあった。「人種のるつぼ」と呼ばれるNYでは、知り合ったばかりの人に年齢を聞くのはマナー違反。日本の新聞記事は取材相手の年齢が必須だが、社に事情を説明し、良いコメントは相手の年齢が分からなくても載せることにした。

 大統領の地元でありながら、市民の間には反トランプの声が強かった。昨年11月の中間選挙では、NY市内の下院全13選挙区の議席を民主党が独占。上院選も民主党が勝利した。

 来年の大統領選挙に向けて、共和党内にはトランプ氏以外の候補者を推す動きがある。民主党は多くの女性政治家が大統領選に名乗りを挙げている。70代の女性が横山記者に語った。「トランプが成し遂げた唯一の良いことは、多くの女性を立ち上がらせたことだ」

 市民からはトランプ政権下で社会の分断が進むことを懸念する声も聞いた。横山記者は「NYはこれまで分断や対立を乗り越えるお手本だった。NYの動向は、憲法改正の賛否などを巡り対立することが増えた日本の参考になる」と話す。

 NY市民、そして米国が次の大統領選でもトランプ氏を望むのか今後も注視する。    (工)

ページの先頭へ