スパルタ終焉は時代の象徴

中国「高校野球の現在地」

 昨年、全国選手権大会が100回を迎えた高校野球。かつて「常識」だったスパルタ指導や長時間の練習に厳しい視線が向けられ、見直しの機運が高まっている。トレーニングや指導法の変化を追った。

 背景には少子化や保護者の関わり方の変化があった。2月27日付から全6回。運動部(当時)の和泉恵太記者ら2人が取材した。

 まず取り上げたのは褒めて伸ばす指導をしている新庄高校(広島県北広島町)。他校の監督時代は「怒らない日はなかった」と話す迫田守昭さんは、新庄高の監督に就任後、スパルタを封印した。昔と同じ指導では選手が萎縮すると気付いたためだ。「どうすれば選手が伸び伸びできるか」を常に考えて指導に当たる。退部者もほとんどいないという。

 高校野球に生じた変化は現代の流れと合致すると和泉記者は分析する。短時間で集中して練習に取り組むさまは昨今の働き方改革に通じる。少子化で子供への保護者の関心が高まり支援が厚くなった一方、監督の方針に口を出すなど干渉も増えた。大切に育てられた子供らは厳しい指導に耐えられない。「高校野球の変化は時代の鏡だ」と和泉記者は語った。

 取材は昨年1月に始めた。おおまかなテーマを設定し、それに合致する話を拾う―。この方針に基づき各校の監督との雑談からヒントを得たり、他校の情報を元に取材を広げたりしたものの、話の中から糸口を見つけ次の取材につなげるのに苦労したと振り返る。

 連載後、和泉記者は安芸高田支局長に異動となった。高校野球に関わる機会は減るが、仕事として取材していると視野が狭くなる可能性もあると話す。一歩引いて「一ファンとして見守ることで得た新発見を、次に記事を書く機会に生かしたい」。(黒)

ページの先頭へ