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復旧道半ば 住民の苦悩ルポ

山陰中央「被災地の今  島根県西部地震から1年」

 島根県大田市で最大震度5強を観測した島根県西部地震から4月9日で1年を迎えた。錦織拓郎大田支局長によると、地震前の平穏を取り戻したかに見えるものの、復旧はまだ道半ば。5日付から4回で、被災地の現状と課題を探った。

 課題の一つは住宅や店舗の再建。大田市の渡辺真工務店は地震後の9か月間で、通常の3~4倍に上る156件の工事を請け負った。このうち103件が屋根や外壁、塀の修繕などの地震関連の案件だった。

 一方、屋根にブルーシートが張られたままの建物も残る。「忙しすぎて、なかなか手が回らない」と渡辺健司社長。11人の小所帯では対応し切れず、13件の工事が手つかずのままだ。「辛抱するしかない」。損傷した住居の屋根の修繕工事を待つ稲田七郎さん(78)の心の内も伝えた。

 被災者の生活再建にはボランティアの存在が欠かせない。屋根のシートの張り替え作業など、被災者からの依頼は絶えない。松江市から通う野村泰彦さん(49)は「大田の被害はまだ過去のものではない」との思いで支援を続ける。記事ではボランティアの拠点整備や運営資金の確保などの課題を指摘した。

 市が発行した罹災(りさい)証明書の数は全世帯の3割近い約4600件。小規模損壊が多発したため、県と市は住宅再建助成金の支給対象を広げた。住民の転出防止策とも言われたが、その効果は判然とせず、連載には施策の検証を盛り込めなかったという。錦織記者は「この1年間で目立った人口減少はなかったが、定点観測が必要だ」と語った。

 地震後、大田市では六つの自主防災組織が発足。研修会の様子も取り上げた。「地震の教訓を糧とし、地域の防災力強化につなげられるか」。今後重視する取材テーマに住民の防災意識を挙げた。(海)

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