見えにくい障害児の日常描く

十勝毎日「笑顔の種 養護学校の教室から」

 吉田にこさんは帯広養護学校の小学部5年生(連載当時)。生後10か月で受けた手術の後遺症で言葉を失い、車いす生活に。カメラを向けると「んあー」と声をあげて笑う。

 社会部の奥野秀康記者が訪れた同校では、児童・生徒と教諭らが歌ったりじゃれ合ったりしていた。「障害は暗いイメージを持たれがちだが、そこには明るい笑顔があった」。児童・生徒の姿と、教員や保護者の思いに迫った。3月26日付から全4回。

 手術後に体が硬直したにこさんは、地道なリハビリで少しずつ表情を取り戻していったという。母親のめぐみさんは「私も夫も息子も、彼女がいたからこそ仕事を頑張ったり優しい気持ちになることができた」とこうした日々を振り返った。

 話せない子も目線や表情、手の動きなどで感情を表す。担任の中尾美里さんは「『気持ちが分かった』『伝わった』と感じるときはすごくうれしい」と記者に語った。

 2017年10月に福祉担当となった奥野記者。前年に起きた相模原障害者施設殺傷事件が心に引っ掛かっていた。事件が起きた「やまゆり園」の元職員・太田顕さんにも話を聞いた。

 太田さんは36年間やまゆり園に勤めた。病気の発作で失禁した入所者が、着替えを手伝った太田さんに「ごめんなさい」「ありがとう」と何度も繰り返したことがあったという。「こちらは仕事なのに...。一緒に笑った思い出も本当にたくさんあった」との言葉を伝えた。

 特別支援学校や障害者施設の日常は見えにくい。「障害を持つ子供の笑顔を糧に生きる人がいることを伝えたかった」と奥野記者。

 「障害者なんていなくなればいい」と語ったとされる相模原事件の被告とは正反対の価値観を描いた。(工)

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