eスポーツ勃興の暗部を直視

西日本「リアルはどこに ゲーム依存を考える」

 子供や若者のオンラインゲームへの依存が深刻だ。遊ぶ時間や頻度を制御できない、学業や仕事に支障を来してもやめられない―。世界保健機関はこうした「ゲーム障害」を治療が必要な疾患と位置付ける。「現実世界(リアル)がしぼんでいく病気」と言われる依存の実態に迫った。5月8日付から全5回。

 福岡県久留米市の病院で治療を受ける30歳の男性は高校1年の時、ゲームにはまった。インターネット上で出会った仲間と共に敵を銃で倒すゲームに熱中。卒業後は仕事も続かず、パソコンの前に座り続けた。困り果てた母に連れられて診療を受け、その後は入退院を繰り返した。

 「使い方に注意するよう保護者に呼び掛けている」というのがゲーム業界側の言い分だ。しかし取材した生活特報部の井中恵仁記者は、責任が家庭に押しつけられている現状に疑問を抱く。

 依存の背景にはいじめなどに起因する孤立感がある。悩む親を支える地域の結び付きも弱まった。社会の中で弱い立場にある子供が追いつめられる―。「個人や家庭でなく、社会の問題ではないか」

 教育現場でのゲームとの向き合い方も変わってきた。eスポーツを部活に採り入れた福岡市の高校の「一人でのめりこまない」ための工夫を紹介。複数人でチームを組む形式のゲームに限り、時間も1時間と決める。「学校でゲームとの付き合い方を教える可能性もあると示そうとした」と井中記者。その一方で、情報教育の中でネット依存対策が後回しにされる実情も報じた。

 盛り上がりを見せるeスポーツが「ゲーム依存を助長している側面があることは否めない」とする医師の声も伝えた。井中記者は「前向きな話ばかりが発信されていないか。悪い面も伝えることが社会と大人の責任だ」と懸念する。(斎)

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