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家族をみとる者の心境聞く

神戸「いのちをめぐる物語 第一部 死ぬって、怖い?」

 報道部の紺野大樹記者は2月、介護施設運営法人の代表理事・大槻恭子さん(42)に問い掛けられた。死ぬって、怖い? 「怖いです......」。次の言葉が出なかった。

 高齢者の増加による「多死社会」の到来。元気なうちに身辺整理する「終活」の浸透。こうした言葉が生まれる一方、自宅で身内をみとることが減った現代は「死が日常から遠ざかっている」(紺野記者)。第一部は、家族らの最期を間近で見た人を取材。死について考察した。6月2日付朝刊から全19回。

 井上直敬さん(74)は母・久子さんの臨終に立ち会った。久子さんは患者同士で住居を共有し、介護や看護を受けながら過ごす「ホームホスピス」で最晩年を過ごしていた。2012年元日。連絡を受けて施設に駆け付けるとほどなく、久子さんは死が近いことを知らせる「下顎呼吸」をするように。その後、苦しむ様子を見せずに3日未明に息を引き取った。

 「最期はろうそくが消えていくようだった。死ぬって、こういうものなんだって思ったね」。母親をみとったことで死への恐怖を感じなくなったという直敬さんの言葉を伝えた。

 がん患者の相談に応じる認定NPO法人「マギーズ東京」(東京都江東区)も訪れた。秋山正子センター長(68)は、不安や恐れを抱えてただ死を待つのではなく「どう生きて、どうしまうか」を考え、家族に伝えておく必要があると指摘。相談者に対し「根掘り葉掘り聞かずに、自然に出てくる言葉に耳を傾ける」と記者に話した。

 紺野記者も身近な人をみとった経験はない。取材を通じ、死が怖いか、怖くないかということよりも「最期までどう生きるかを考えることが大切だと気付いた」と語った。

 第二部は、自宅で最期を迎えたいと願う人を取り上げる。(工)

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