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血縁超えた愛情と苦悩描く

長崎「家族のかたち 里親家庭の今」

 里親には四つの形がある。「養子縁組里親」に、一定の年齢まで育てる「養育里親」。祖父母らが育てる「親族里親」、虐待や非行などの問題を抱える子を預かる「専門里親」。報道部の熊本陽平記者がそれぞれの家庭を訪ね、血縁を超えた愛情や受け入れる家庭の葛藤を取材した。連載は10月20日付から全11回。

 4歳で養育里親に迎えられた太一さん(18)。当初はストレスによる自家中毒の症状なども出たが、里親夫婦や3人のきょうだいとともに温かい環境で育った。養育期間はあと2年。太一さんは独立か普通養子縁組かの選択を迫られている。

 「家族とは何か」。熊本記者は太一さんに聞いた。「本音が言え、いろいろ気にせず生活できる。血はつながっていなくても分かり合える環境があれば、それは家族だ」

 全国で虐待事件が相次ぐ中、里親の重要性は増している。しかし連載の目的は幸せな家庭の事例紹介ではない、と熊本記者。「里親の光と影を描かないと実像は伝えられない」と考えていた。

 数年前に専門里親として女子高校生を引き受けた女性の話も取り上げた。里子はある日から外泊が続き、態度もよそよそしくなった。里親委託は5か月で解かれたが、彼女の周りに頼れる人はいない。「またご飯でも食べにおいで」。別れ際にそう言えなかったことを今も後悔しているという。

 熊本記者によれば、特殊な事情を持つ子を受け入れる専門里親は「プライバシーの塊」だった。「当事者に迷惑を掛けない範囲で苦悩や葛藤がリアルに伝わるよう、確認作業を繰り返した」と話す。

 熊本記者は、連載最終回で「里親が増えるのは果たしていいことなのか」と提起した。里親を必要とする子がなぜ増えるのか。その課題と向き合ってほしい、との思いを込めた。(海)

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