2019年 11月26日
見過ごしてきた暴力と闘う

沖タイ「反ヘイト川崎―沖縄」

 阿部岳編集委員によると、沖縄には在日コリアンの集住地域や被差別部落がない。差別は遠い問題だと思う県民もいる。しかし「実際はヘイト(憎悪表現)の対象にされている」。大阪府警の機動隊員が2016年、東村高江の米軍ヘリパッド建設に抗議する人を「土人」「シナ人」とののしったのはその一例だ。

 罰則付きの差別禁止条例制定を検討する川崎市で、行政を動かした被害者らに阿部氏が話を聞いた。沖縄でヘイトスピーチが見過ごされてきた実態も報じ、対策の必要性を訴えた。10月28日付から全5回。

 「ゴキブリ朝鮮人」「出ていけ」―。在日コリアンが多い川崎市川崎区の桜本地区はヘイトデモの被害が深刻だった。この街で暮らす崔江以子さん(46)は国会議員らに現状を訴え、16年のヘイトスピーチ対策法成立につなげた。

 罰則がない対策法の穴を埋めるため、川崎市はヘイトスピーチに刑事罰を科す全国初の条例制定を目指す。崔さんは「足りないところはまたみんなで闘って、差別根絶まで前進を続ける」と阿部氏に話した。

 那覇市役所前で中国人差別の街宣を繰り返す久我信太郎氏(67)にも話を聞いた。久我氏は千葉県出身。中国人観光客に向かって「腐った中国、さっさと帰れ!」と叫ぶ。「周辺には中国人の観光客も多い。不安に思うだろう」と阿部氏が尋ねると、「シナ人には不安になってもらいたい。歓迎していないことを分かってほしい」との答えが返ってきた。

 ヘイトスピーチ対策法は自治体に解消の努力義務を課す。しかし、久我氏の行為は見過ごされてきた。「行政、メディアは放置した責任がある」と阿部氏。「自分は本土出身で、日本の中で多数派とされる側。だからこそ、多数派による暴力に立ち向かわなければならない」と語った。(工)

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