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実名報道 現場の苦悩を描写

京都「真相 京アニ事件 連載 記者の葛藤」

 7月の京都アニメーション放火殺人事件では各社の報道、特に被害者の実名報道に批判の声が上がった。

 報道部の目黒重幸社会担当部長は、遺族を取材するメディアに偏見を持つ人が多いとみる。「悩み、考えながら取材する記者の姿を読者に伝え、実名報道やマスコミについて考えてもらいたい」。取材班の記者2人が同僚に事件当時の話を聞き、新聞の在り方を問い直した。11月18日付から全6回。

 実名報道を原則としてきた報道機関として、取材する記者、される記者ともに全員実名で掲載した。記事には新聞社としての意見や結論を明記せず、取材時の状況や記者の心境を書き出すことを意識したという。「取材現場のありのままを読者に伝え、批判や意見を受け止めたかった」と目黒氏。

 遺族取材を担当した本田貴信記者は被害者の祖父母の家を訪ねた。祖父母は「孫について知ってほしい」との思いから取材に応じたが、1週間後、取材拒否に。本田記者は、遺族に話を聞いて命の重みを伝える意味はあったと信じたい、と話す。一方で「取材が集中し大きな負荷をかけてしまった」と思い悩んだ。

 京アニ事件では、発生直後から各社の取材・報道に対する批判がインターネット上に多く書き込まれた。取材班の中には「毎晩ウェブサイトに投稿された批判を確認しては落ち込んだ」と話す記者もいたという。

 メディアの取材を頭ごなしに否定する風潮がある今「読者の声をしっかり聞いて紙面に還元しないと、マスコミが見放される」と目黒氏は懸念する。報道で真実を伝えることは今後も報道機関の重要な役割だが、読者からの信頼がないと責任を果たせないとし「批判的な意見にも向き合うことが求められている」と述べた。(黒)

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