地域を豊かに 先駆者追う

中国「びんご再構築 人口減社会に挑む  第1部 現場から」

人口減少の波はいや応なく広島県東部の備後地方にも押し寄せる。福山市が今年を境に減少に転じると見られ、全4市2町で人が減る。

 考えるべきは、人を呼び込むことよりも「右肩下がりの現実を受け止め、豊かな暮らしをどう取り戻すか」と備後本社編集部の菊本孟記者は指摘する。管内の記者が地元の診療所や中小企業などを取材し、課題と処方せんを探った。1月7日付から6回。

 福山市の田島、横島両島を通じて唯一の診療所を営む市川勉院長は昨年7月、大阪府の医師らとNPO法人を設立。医師が休養や学会で不在の場合に、代わりの医師を派遣するための体制作りを目指す。「地域医療の仕組みを築くことが人口減少社会に向かい合う基礎体力になる」と考えるからだ。

 創業165年の家具メーカー松創(府中市)は、縮小する国内市場の打開策として高級クルーザーのテーブルや壁面などの造作を受注する。長年培った職人技を生かした新事業の売り上げは全体の3割を占める。商圏拡大を狙い、5か国語が堪能な社員を新たに雇った。

 松岡佳二社長は「家具とは桁違い」の受注額に手応えを感じる一方、本格的な海外進出には国の体制整備が欠かせないと訴える。「技術が売り物だけにインターネット上では良さがうまく伝わらん。だが、現地に拠点を設けるとなると中小企業じゃとてもできん」

 連載で意識したのは、現状を打破するための「ビジョン」を示すこと。菊本記者は「前向きな人の情熱を取り上げ、備後以外の人にも共感してもらえる内容を目指した」と話す。

 管内の支局員はおおよそ1~2人。「良いことも悪いことも、僕らが書かないと地元のことは伝わらない」と菊本記者。今後も地域の今と将来を最前線で追う。(海)

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