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免許返納者への支援に着目

徳島「長寿のあした 第4部 揺らぐ生活の足」

 昨年4月、東京・池袋で女児と母親が車にひかれ亡くなった。運転者は87歳の男性。事故を受けて自動車運転免許証を返納する高齢者が増えている。

 しかし車が移動に欠かせない地域では、返納すれば生活に支障を来す。「相反する課題について読者に考えてもらう」(高島卓也編集委員)ため、返納を迷う高齢者や代替交通手段を提供する市町村を取材した。1月19日付から全5回。

 徳島市の坂本文弘さん(79)は免許の返納を迷う一人。入院を機に2017年、車を使わない生活を試みた。週2回楽しんでいたボウリングに行けなくなった。通院や買い物も不便になり翌年、運転を再開した。

 自主返納を求めるだけでは、高齢者は運転をやめられない。「車がなくても安心して暮らせる体制を整えることが先決だ」と高島氏。

 阿波市は18年4月、利用者が指定した区間を送迎する乗り合いバスの実証実験を始めた。片道300円で利用者の自宅近くから目的地まで走る。免許を返納してから家にこもりがちだった同市の渋谷政子さん(80)は、乗り合いバスで病院や買い物、温泉などに出掛けるようになった。市は本格導入を検討している。

 課題は運営費がかさむこと。乗り合いバスは市の社会福祉協議会とタクシー会社2社への委託事業。市は19年度、約2500万円を支出した。「全ての市町村で同水準の事業を実施することは難しい」と高島氏はみる。

 人口約1500人の上勝町は、住民の自家用車で高齢者の移動を助けるボランティア輸送を導入した。料金は1キロ当たり100円。

 利用者は年1000~1500人ほど。人口が少ない地域は行政だけに頼らず「住民同士で支え合うことも必要ではないか」。高島氏は語った。(黒)

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