対立の背景 隣国で探る

山陰中央「漂流日韓 第1部 今どきの反日」

 戦後最も悪化しているといわれる日韓関係。両国が向き合うために必要なことは何か。

 学生時代に韓国への留学経験を持つ入社4年目の平井優香・政経部記者が昨年11月に訪韓。9日間の取材を通じ市民から日本に対する思いを聞き、反日感情の背景を探った。12月7日付から全5回。

 韓国では日本製品の不買運動などが広がる。片や日本では、在日韓国人らに対する憎悪表現が後を絶たない。平井氏は「まず韓国人が何を考え、行動しているのか理解しなければ、日本国内の『嫌韓』感情とも向き合えないと考えた」と語る。

 仁川(インチョン)市で取材した20代の男性は不買運動について、国民が国を守ろうとする当然の行動と考えていた。昔は日本に対し声を上げられなかったものの、韓国が経済成長を果たしたことで「今は力がある」と語った。

 韓国の若者は「自分たちが行動すれば社会を変えられる、と信じている」(平井記者)。日本との違いを感じたという。

 日本の植民地支配下にあった時代を知る高齢者の声も聞いた。金享燮(キム・ヒョンソプ)さん(90)は名前や母国語を奪われた怒りを今も抱えながらも、隣国同士が「気分よく暮らさないといけない」と力説した。

 「歴史を知る人の言葉は重い」と平井記者。金さんは取材後、日韓の歴史にまつわる手書きの資料まで渡してくれたという。

 取材前は「厳しい言葉を浴びせられるのではないか」と恐れる気持ちもあった。金さんの厚意に触れ「日韓は今、両国の社会情勢などにとらわれ、お互いを知ろうとすらしていないのではないか」と連載の結びで問い掛けた。関係改善に向け、記者として「市井の人の声に耳を傾ける姿勢を持ち続けたい」と話した。(斎)

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