2020年 4月21日
働き方改革のひずみに焦点

河北「労働者クライシス ~長時間残業 規制の陰で」

 運送業界は賃金に占める時間外手当の割合が高かった。「働いた分だけ稼げるのが魅力だった」。仙台市のトラック運転手の男性(45)が鈴木悠太記者に語った。しかし2年前から、残業削減の動きで収入は目減りした。

 働き方改革関連法が定める残業時間の上限規制が今年4月、中小企業にまで適用されるようになった。長時間労働の解消が期待される一方、収入減による困窮や兼業せざるを得ない人の過重労働など、新たな問題も浮上している。報道部の鈴木記者(現気仙沼総局)が改革のあおりで苦しむ労働者の現状を追った。3月23日付から全4回。

 運送業界では慢性的な人手不足が続く。労働者の収入減は人材流出や雇用難といった形で企業に響く。政府が掲げる働き方改革の施策は「ただ残業時間を減らすことが目的に見える」と鈴木記者。「しわ寄せで苦しむのは企業と労働者だ」

 厚生労働省は2018年1月、企業の就労ルールの指針となる「モデル就業規則」を改定。従業員の副業を容認する旨の記述を盛り込んだ。副業を通して能力向上を目指す労働者を支援し、多様な働き方の実現を後押しするとの眼目だ。

 東京の人材サービス会社が昨年7月、従業員300人未満の402社を対象に実施した調査によると、副業を禁止している企業は65%。うち43%は今後の導入も消極的だった。

 日中は仙台市の会社で働き、夜は同じ市内のスナックに勤める女性。副業は「お金が必要だからしているだけ」と語った。政府が描く将来像と、労働者・企業の実態との溝は今後さらに大きくなると鈴木記者はみる。景気の悪化は、地方の中小企業から顕在化するとして、よりよい労働環境が整うまで「地元に密着する地方紙が見守っていく必要がある」と話した。(黒)

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