武漢暗転 経済停滞に警鐘

神奈川「封鎖都市 現地法人幹部の報告」

 1月23日。中国湖北省武漢市の様相は一変した。「まるっきり動きが取れなくなるんじゃないか」。自動車部品メーカー「協和合金」の現地法人社長、小嶋広人さん(59)は不安と焦燥に駆られていた。日本への航空便は全て運休に。テレビは市境の封鎖、公共交通機関の停止を伝えていた。

 新型コロナウイルス感染拡大のため封鎖された武漢市は、日系企業の拠点が多い。「都市の封鎖は何を引き起こすのか。とりわけ経済にどのような影響を与えるのか。きちんと伝える必要がある」。経済部の田崎基記者は3月中旬、帰国した小嶋さんに接触し、話を聞いた。連載は3月23日付から全3回。

 武漢市の封鎖は自動車製造の流れを止めた。車の製造は多層的な下請け構造に支えられている。一部のメーカーが部品を製造できないと、完成車を組み立てられない。小嶋さんは「関係する全ての部品メーカーが足並みをそろえて生産を開始する必要がある」と述べた。

 生産調整に追い込まれる工場が相次いでおり、小嶋さんが統括する工場の稼働率も約4割にとどまる。完成車メーカーからフル生産の指示がくる見通しもない。

 「経済面は読者の興味が薄い。しかし、経済の停滞は市民生活の根幹に関わる」と田崎記者。読者の関心を喚起するため、連載の冒頭は小嶋さんがチャーター便に乗り込み、日本に帰国するまでを報じた。十数回にわたる取材に基づき、当時の緊迫感と混乱を再現した。

 新型ウイルスはその後世界中に広がった。感染拡大抑制と経済回復は各国の課題だ。田崎記者は「日本は都市封鎖という強硬手段が取れないため、感染が長引く可能性がある。日本が世界経済に遅れを取ることがないよう行政の動きを注視したい」と述べた。(浅)

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