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火山観測最前線に伝統の技

南日本「AI(アナログいいね!)鹿児島」

 黒い紙が横倒しのドラム缶に巻かれている。細い針が左右に動き、紙に白い波形を刻む。京大防災研究所の火山活動研究センター(鹿児島市)は60年来、桜島の火山性地震を「煤書き」という手法で記録してきた。

 報道部の高味潤也記者は2019年度末まで3年間、科学グループで環境や防災などの分野を担当した。専門家は皆、最新機器を駆使してスマートに働いている―わけではなかった。昔ながらのやり方を維持する第一線の研究者らに「人間くささと親しみを感じた」。知られざる技を5月3日付から5回連載で紹介した。

 黒い紙はセンターが加工したものだ。白い紙をドラム缶に巻き付け、下からバーナーであぶる。紙は煤で真っ黒に。

 記事ではその様子を「まるで中東の名物料理ケバブを焼いているよう」と評した。センター長がケバブ職人に見えたが、それは黙っていた、とも。脱力した文体は、かつて夕刊の特集でおなじみだった軽いトーンを意識した。

 煤書きは1日の動きが一目で分かる。しかも丈夫で長持ち。デジタルデータは破損による消失の危険が伴うが、記録が終わった紙はニスを塗ると100年以上持つという。

 0.1ミリもない細い針で線を描くため、波形が分かりやすいのも特長。インクを使うと線が太くてにじむ上に、補充の手間もかかる。古典的な技術は「惰性や前例踏襲で残ってきたのではない」(高味記者)。今も使われる理由があった。

 連載の初出は、会員制サイト「373る」。同社初のウェブ限定企画として高味記者が立案した。このテーマを選んだのは、デジタル版の読者にアナログの良さを伝えるため。より多くの人に読んでもらおうと、記事を再編集して紙面化した。(酒)

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