2020年 11月24日
医療的ケア児に成長の場を

岩手日報「輪の中へ 医ケア児、親たちの願い」

 たん吸引などの医療的ケアが必要な子供(医ケア児)は岩手県内に189人いる(2018年度、県調べ)。70人超が5歳以下で、このうち幼稚園や保育園に日中通うのはわずか3人。安全面の懸念や人材不足などが受け入れの進まない要因とされている。

 9月22日付から3回連載。受け入れ態勢の充実を願う母親の思いと、受け入れ側の苦悩を伝えた。

 きっかけは盛岡市の母親ら4人が8月、学校や保育園への看護師配置などを求める要望書を同市に提出したこと。報道部の飯倉ゆり記者は要望書をまとめた小笠原綾子さんから、子供たちの成長の機会が奪われていると聞いた。飯倉記者は5月に第1子の育児休業から復帰したばかり。ひとごとに思えなかった。「いろいろな人がいる中で子供を育てたい、というのは親の心からの願いだと実感した」からだ。

 小笠原遥希ちゃん(6)は、リンパの病気で生まれつき舌や下顎が大きく、3歳までは鼻から通した管で栄養を補っていた。4歳の時に手術で舌を切除し、医ケアは不要になったものの、保育園の中には見学さえ断るところもあったという。遥希ちゃんを受け入れた園は「緊急時は親御さんが全面協力してくれるとの信頼感があったから」と振り返る。

 医ケア児を受け入れる別の私立保育園は事前に主治医や消防署と相談し、独自の救急搬送態勢を取り決めた。行政に対応指針の策定を求めたいと取材に答えた。

 日常的なたん吸引が必要な高橋蓮ちゃん(6)の母智恵さんは来年度、小学校の特別支援学級への入学を希望している。「実体験でしか学べないコミュニケーションを大勢の中で学んでほしい」。年度替わりの来年4月にどこまで変わり、何が変わらなかったか。飯倉記者はその後を追う。(海)

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