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子供守る地域の在り方問う

苫小牧「届かなかった手~幼児死体遺棄事件から」

 28歳の女性が11月30日、北海道苫小牧市のアパートで息子の遺体を遺棄したとして苫小牧警察署に出頭した。

 この事件は「市民に重いものを突き付けた」と編集局の姉歯百合子記者。2007年の幼児死体遺棄事件を教訓に、苫小牧市は子供の虐待防止策を強化してきたが、それでも防げなかった。小笠原皓大記者とともに、地域住民約40人に取材し、子供の命を守る地域の在り方について再考した。12月10日付から全3回。

 あともう少しだけ、この手を伸ばしていれば―。アパートの施設管理会社の男性は後悔を口にした。男性は19年11月、修繕のため女性宅を訪問。ごみが散乱した部屋から「まともな生活を送れていない」と見て取った。すぐに市に通告したが「本人を連れてきて」と取り付く島もなかった。男性は「困っている親が声を上げてくれるのを待つという今の体制では、救えない命がある」と話した。

 自らも母である姉歯記者。子育て中は「自分が困っていることにすら気づけない」ほど切羽詰まることがあると述べた。住民が何気ない会話から親の悩みを聞き出せれば、市への相談の仕方も変わるとみる。子供が泣いている、といった外から見える状況だけではなく、その家庭が直面している具体的な問題を周囲が市側に伝えれば「必要な支援に結び付く」。

 他方、プライバシーの侵害などの観点から「どこまで他の家庭の生活に踏み込んでいいのか迷う場面もあるだろう」とも。だからこそ、市への相談は密告や告発ではなく「支援につながる可能性があることを記事で繰り返し伝えていきたい」と語る。

 市の対応の遅れは、縦割りの体制が一因とみる。各部門が市の支援策全体を理解し対応に当たるための体制作りも注視したいと述べた。(浅)

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