2021年 2月9日
募金に託した思い探る

中日「クラウドファンディング 支縁の形」

 新型コロナウイルス禍で経済活動が停滞する中、企業や団体、個人の資金集めの手段として注目が高まるクラウドファンディング(CF)。業界団体の調べでは、主要7サイトに集まった2020年上半期の総支援額は223億円に上る。前年同期の約3倍だった。

 出資者はどのような思いで支援し、集まったお金はどう使われたか。東海本社版朝刊の地域面で、静岡県内の劇団やプロサッカーチームなどの事例を伝えた。1月6日付から全8回。タイトルの造語は同本社報道部の酒井大二郎記者が発案した。

 酒井記者が話を聞いた創立75年の劇団たんぽぽ(浜松市)は、当座の運転資金を確保するため昨年6月にCFで援助を募った。コロナ禍で公演の中止が相次いだ。目標の300万円を超す約570万円が集まり、劇団員の給料に加え、新作劇の準備にも資金を回せた。

 孫やその先の代まで続いてほしい―。静岡県磐田市の男性(56)は初めてCFで寄付した。取材では返礼品の色紙を手に、40数年ぶりに観覧したいと顔をほころばせたという。ある劇団員は「どれだけ多くの人に愛されているか確認できた」と感謝を口にした。

 酒井記者によれば、東海本社版ではCF関連の記事がこの1年で倍以上に。しかし多くが援助を求める側の窮状やCFの応募先を伝える内容で、その後の活動や支援者に焦点を当てた記事は少なかった。CFはオンライン上の非接触型サービスだが「血の通った温かい部分を伝えることで、面白い部分が見えるのではないか」と考えたという。

 CF市場は急成長したものの、対価を前提とした構造は「どこかで限界を迎えるのではないか」。大手サイト運営者はこうみる。出資前に募集の趣旨や支援の目的を「冷静に見極めてほしい」との言葉も伝えた。(海)

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