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2021年 6月8日
厳格な基準 届かぬ公的支援

西日本「プレシンママは今 離婚できない母」

 子供2人を育てる九州の30代女性は、一人親世帯と認められず児童扶養手当を支給されていない。夫の暴力に耐えかねて家を飛び出した。弁護士を通じて別れたいと伝えたが、拒まれている。

 離婚が成立せず、実質は母子家庭なのに公的支援を受けられない。こうした「プレシングルマザー」の苦境を河野賢治社会部編集委員が伝えた。4月20日付から朝刊で全3回。

 女性は一人親世帯向けの医療費助成も、新型コロナウイルス禍の給付金も受けられなかった。行政は離婚しているかどうかを厳密に問うため「困っている人に支援が届かない」と河野氏。しゃくし定規な認定の在り方を問題視する。

 暴力被害で裁判所の保護命令を受けると、離婚前でも児童扶養手当が支給される。要件は身体的な暴力や命にかかわる脅迫を受け、今後も身の危険があること。

 しかし、女性が夫から受けたのは、生活費を渡さない経済的な暴力や、言葉による嫌がらせ「モラルハラスメント」が多かった。弁護士の「保護命令はモラハラや経済的な虐待だと出されず、暴力被害者の救済としては不十分な面がある」との指摘を伝えた。

 最大で月額4万円超の児童扶養手当が支給されるか否かは、生活の維持に関わることもある。河野氏は「行政が暮らしぶりを調べ、本当に困窮していると判断すれば支給する方式が望ましい」と話す。対象拡大には政令改正が必要。判定に関しては事実婚を解消した夫婦や未婚の母などの場合、行政が民生委員らと協力して生活実態を調べる例があるという。

 福岡県の50代女性が、離婚訴訟中であるとの証明書を役所に見せて娘の学用品代などの助成を受けたことも報じた。公的支援でも種類によって対応にばらつきがある。連載ではこうした現状も明らかにした。(酒)

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