2021年 8月10日
本音言えぬ子の心に焦点

北日本「今を解く~ヤングケアラー」

 政府が昨年度に実施した調査によると、家族の介護や世話をする子供「ヤングケアラー」の割合は中学生で5・7%、全日制の高校生で4・1%だった。1日当たり約4時間を食事の準備や掃除、外出への同行などに費やしているという。社会部の藤田愛夏記者が当事者らを訪ね、社会に求められる理解や支援策などを探った。7月19日付から全3回。

 藤田氏は当初、子供が介護に時間を取られ、日常生活や進学に影響が出ている実態を探ろうと取材を始めた。当事者の話を聞き、家族の介護が子供に与える心理的負担の重さにも意識が向いたと話す。

 母親が双極性障害だった富山市の40代女性を取材した。女性は小学生の頃、友達から「なんでお母さんが昼間に寝てるの」と言われ、母を恥じるようになった。母は女性に対し、日常的に理不尽な発言や八つ当たりをした。女性は母の存在を隠し、つらい心情も抱え込むようになった。

 母は既に他界。女性は今も「どうしてうちは普通じゃなかったのか」との葛藤を抱えている。育った環境に引け目を感じ、常に不安だと藤田氏に吐露したという。ヤングケアラーだった子供は介護がつらくても言い出せず「本音にふたをして生きることが当たり前になる」(藤田氏)。

 藤田氏は「つらいと言える環境や居場所を整えることが重要だ」と指摘する。連載で、行政の支援は「入り口に立ったばかり」と提起した。相談窓口に子供本人が相談する難しさにも触れた。研究者の「周囲の大人や同級生が正しい知識を持つことが、当事者が声を上げるためには不可欠」との声を紹介した。

 「ケアする人への支援に目を向けてほしい」(藤田氏)。富山県では支援に向けた具体的な動きがないことを報じた。(浅)

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