2021年 9月28日
危険性を周知 対策に焦点

十勝毎日「エキノコックス感染症の今」

 「散歩中にキツネが現れて子供のそばに来ると困る」。北海道帯広市の児童公園の近くで昨年、キツネの巣穴が見つかった。公園を散歩に使っていた保育所はコースを変更。所長はキタキツネや犬を介してうつる寄生虫エキノコックスを懸念していた。人が感染すると、肝機能障害などを起こして死に至ることもある。

 エキノコックスは1965年に根室市で確認され、全道に感染が拡大した。毎年道内で約20人への感染が確認されている。虫卵を含むキツネや犬のふんに汚染された水などから人にうつる。社会部の安田義教記者は、感染までの流れなどを知らない住民が多いと指摘。「過去の風土病と捉えないでほしい」との思いで感染防止策に焦点を当てた。7月28日付から全3回。

 キツネや犬はエキノコックスの幼虫が寄生した野ネズミを食べて感染する。安田記者は道内で250匹に1匹の割合で飼い犬が感染していたとの北大院による2007年までの調査結果を紹介。犬が散歩中にネズミを見つけた際の危険性を飼い主に周知したかったと説く。公園などで放す機会のある飼い犬への1~3か月に1回の駆虫を勧める獣医の意見も報じた。

 帯広市の市街地でキツネが目撃されることも増えているという。対策として駆虫薬を入れたベイト(餌)の散布を取り上げた。十勝地方の19自治体のうちベイトを活用するのは2町村。散布への労力などから導入に二の足を踏む自治体の実情を伝えた。より導入しやすい対策として、公園や大学など自治体より狭い範囲でベイトを散布する手法を紹介した。

 住民自らが町内会などの単位で対策について声を上げることが行政の背中を押すとの専門家の指摘も取り上げた。安田氏は連載について「住民の行動を促す一助になってほしい」との思いもあると振り返った。(阿)

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