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2021年 10月26日
車内の交流 「心の復興」に貢献

河北「支援の轍 日本カーシェア協会10年」

 日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)は2011年7月に設立された。東日本大震災を機に、寄付で集めた車を被災地の住民同士で共同利用してもらう活動を展開。被災者の生活を支える足となるだけでなく、住民同士のつながりもできるよう支援してきた。石巻総局の樋渡慎弥記者は協会の代表者やカーシェアの利用者らを取材。10年の歩みをたどった。9月3日付朝刊から全3回。

 石巻市の内湾・万石浦。協会は震災後、このそばに整備された公園の仮設住宅団地で共同利用の仕組みを初めて導入した。乗用車1台を団地内に置いた。住民が移動に困る高齢者らを乗せて走った。運転を担った増田敬さん(70、連載当時、以下同)は自身も震災で自宅を失い、仮設に住み始めた当初は引きこもりがちだったという。しかし、運転者として他の住民と同じ時間を過ごす中で「命が助かったのだから、誰かのために動こうと思えた」。

 樋渡記者は増田さんの話を聞き、カーシェアは被災者の「心の復興」にも一役買っていると感じたという。増田さんの「間を持たせる雑談が家族や病気といった相手の困り事を聞く時間になった」との言葉を伝えた。

 カーシェアは地域の潤滑油として他の仮設団地にも導入された。現在は全国21か所で計約800人が車を利用する。樋渡記者は代表理事の吉沢武彦さん(42)にも取材。「最大の被害に遭った石巻で共同利用のひな形を作れば全国に広げられる」との思いがあったことなどを紹介した。

 協会による復興支援活動は、新型コロナウイルス禍による経済への影響など「他の社会課題を抱えた地域でも生かせる」(樋渡記者)とみる。協会が他の災害被災地や生活困窮者への車の提供などに事業を拡大していることも報じた。(浅)

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